野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

烏山小学校のつくし学級にて

NPO芸術家と子どもたち」のプロジェクト。
世田谷の烏山小学校のつくし学級で、打ち合わせ。

芸術家と子どもたち」のASIASというプロジェクトに関わるのは、久しぶりです。
このプロジェクトは、2000年にスタートしたのですが、最初に、堤康彦さんに相談を持ちかけられたのが、1999年。その時に、ぼくが言ったことは、以下のようなことだったはず。
「アーティストが学校に行って、子どもたちとコラボレーションする、というプロジェクトだったら、すぐにイメージできるけど、それじゃあ、学校の授業でやらなくてもいい気がする。美術館でも、ホールでも、そういうことやってる。じゃあ、何をするか。アーティストと子どもがコラボレーションする授業を、アーティストと先生が一緒に考えてつくる。これまでのアーティストの過去の作品を踏まえて、これまで先生がやってきた授業を踏まえて、それぞれの延長線で何ができるかを見つけるコラボレーション。それの方が、大変だけど、新しい何かが生まれる気がする。」

そして、2000年にASIASはスタートし、その第1回目の授業を、ぼくと、矢木先生という図工の先生で考える。図工の先生は図工の授業をしようと考え、ぼくは音楽をやろうと考える。そうした中から生まれたのが、リズムに合わせて次々に絵を描いていく授業だった。
その後も、ASIASでは、色んな授業をしたけれど、常に、事前に小学校の先生と打ち合わせをし、一緒に考える。それを基本にしている。そんなことせずに、ただ、アーティストがワークショップをして、先生は見てるだけ、の方がスムーズにいくかもしれないけれど、でも、一緒にやるのが、ASIAS。それは、アーティストにとっても、先生にとっても、面倒くさい作業でもあるけれど、逆に言うと、アーティストにとっても、先生にとっても、意見交換をして、アート観や教育観を確認し合う貴重な場にもなっている。だから、学校の先生との対話によって、ワークショップの内容は大きく変わっていくわけ。

で、今日は、打ち合わせ。

打ち合わせは、芸術家と子どもたちの宮浦さん、つくし学級の高橋先生、高田先生と行われ、気がついたら2時間たっていた。発表会でやった演奏のビデオも見せてもらったし、学級の仕組みなども教えてもらったし、ぼくの作曲の考え方や、やりたいこと、アイディアなどを話し合った。

現時点でのアイディアは、

1 野村+子どもたちで、楽器で遊ぶ。それを先生たちが、面白いところを探しながら、ビデオにとる。
2 先生たち、子どもたちとビデオを見る。みんなが気に入ったところを中心に、編集する。
3 編集された映像を原曲として、鍵盤ハーモニカトリオとして編曲する
4 編曲した曲を子どもたちの前で演奏し、その場で意見を聞きながら、曲をアレンジしていく
5 完成した楽曲を、譜面として、何らかの形で出版する

こんなプロセスになった。今回は鍵ハモとは思っていなかったのに、実はこのクラス、すごく鍵ハモに力を入れているらしいので、こうなった。
11月下旬〜12月にかけてやります。

で、その後、オランダに1年間、文化庁の在外研修に行く作曲家の樅山智子さんの壮行会にいってきました。面白い方々と話し込んだ。