野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

メメットとの打ち合わせ/編曲中/The Other Classical Musics

Memet Chairul Slametと、音まち事務局と、オンライン会議。10月12日に開催する『キタ!千住の1010人』に向けて。インドネシアとは2時間の時差がある。メメットの新曲としては、《Senju 2025》(野村がフルート、ヴァイオリン、コントラバスマリンバ、打楽器、ピアノの6重奏に編曲)と《Senju Rock 2025》(4群の石のアンサンブル)を演奏することになった。これらの楽譜を練習しておくことは下準備として、彼が千住に来ることで彼の常軌を逸した実験的スピリットが注入され、音楽のテイストは大きく変わるだろう。《Musik Api(火の音楽)》を見て、それを再確認しよう。

www.youtube.com

 

ga.geidai.ac.jp

バルトークのヴァイオリン協奏曲は、1楽章だけで15分くらいあるが、なんとか4分くらいに凝縮したダイジェスト編曲を敢行中。

 

編曲の合間に相撲を観戦し、相撲の合間に本を読みながら四股を3000回踏むのが最近の日課。Michael Church編『The Other Classical Musics』読了。西洋クラシック音楽だけでない世界各地のクラシック音楽(伝統音楽)についてのガイド。クラシック音楽を複数形にしているタイトルに惹かれて買った本。写真やイラストも多く想像力が膨らむ。各章末にリスニングガイドがついているので、色々聴きながら読んだ。

boydellandbrewer.com

バルトークと肥後琵琶/JACSHA大分公演まで1週間

バルトークのヴァイオリン協奏曲のレクチャー用編曲作業を進めている。ピアノとヴァイオリンに編曲しているのだが、肥後琵琶の開放弦とヴァイオリンのバルトークも良さそうな気がしてきた。あと、バルトークがどう発想して作曲していたか、譜面から読み取れることも多く、面白い。

 

自宅で作業しているので、納豆をつくり、豆乳ヨーグルトをつくり、カッテージチーズをつくり、発芽玄米を炊き、と家事を楽しんでいる。庭仕事も少しはやってるが、暑いので少し。

 

参議院選挙の期日前投票は既に済ませているが、選挙って後で解約できない通販みたいになってきてるなぁ。印象だけの広告で購入させて、後で後悔しても入金済みみたいなやり口。世の中、信じやすい人が多いものだ。

 

大分のJACSHA公演に向けてオンライン会議。衣装、楽器、楽譜、進行などなど、確認。

 

emo.or.jp

肥後琵琶リサーチ#27/バルトーク編曲中

肥後琵琶乃会の岩下小太郎さんと後藤昭子さんと熊本県文化課を訪ねる。(現在活動休止中の)肥後琵琶保存会の琵琶が保存会メンバーから県に返還されたとのことで、江戸時代後期か明治時代に作られたものかもしれない貴重な楽器を見てきた。お二人の推察によると、一面の琵琶は山鹿良之さんが手を入れて使おうとされた形跡があるとのこと。通常であれば琵琶の糸が張ってあるはずが、義太夫三味線の糸が使われているが、晩年の山鹿さんは義太夫の糸を使っていた。また、煤竹を付けてサワリを出すのは筑前琵琶では普通だが肥後琵琶ではしないが、山鹿さんは取り入れていた。煤竹を後から接着剤でくっつけた形跡があるなど。お二人の推察とともに楽器を鑑賞すると勉強になる。

 

 

バルトークのヴァイオリン協奏曲の編曲作業のつづき。バルトークの変奏を強調するために、執拗に何度も冒頭のテーマと変奏箇所を入れ子に交互に弾くことで、変奏を際立たせようとしてみた。レクチャーの題材としても曲としても面白くなってきた。

 

www.kyukyo.or.jp

 

メメットの新曲/バルトーク編曲中

梅雨明けが早すぎて、先週は猛暑なのにセミが鳴かないので違和感があったが、最近はセミが鳴き始めて、気温とサウンドスケープが合致し始め、聴覚的にも夏になった。

 

『キタ!千住の1010人』のMemet Chairul Slamet作品の進め方などに関して、音まち事務局とオンライン会議。メメットは、既に《Senju 2025》というオーケストラ曲(野村が6重奏に編曲)、《Senju Rock 2025》という石のアンサンブル曲、《Senja 2025》という3曲の吹奏楽曲を送ってきていて、《Senju 2025》が約8分、《Senju Rock 2025》は約1分半、《Senja 2025》は約1分なので、3曲全部で10分半あるので、これで十分と思っていたら、振付家を連れて行き出演者に振付したい、という提案が出てきた。アーティストのやりたいアイディアは可能な限り尊重したいしメメットに意図を聞かないと分からないが、企画の規模と準備の時間を考えると、そこまでできるか至急相談しないと、ということで、近日中にメメットと打ち合わせをすることに。

aaa-senju.com

 

バルトークのヴァイオリン協奏曲(第2番)をレクチャー用小品として、ヴァイオリンとピアノに編曲中。最初の主題を変奏しているところばかりをピックアップしてる。これがバルトーク作曲/野村誠編曲《ヴァイオリン協奏曲第2番より》となり、この曲にバルトークと関係ないフルートパートを書き足すと野村誠作曲《ひつま節〜バルトークの主題による》になる予定。

www.kyukyo.or.jp

 

宇宙と宇宙をつなぐ数学

7月12日ということは、3ヶ月は10月12日で『キタ!千住の1010人』を実施しているはず。いよいよ3ヶ月後なので、後悔しないように、今のうちにできることをして臨みたい。

aaa-senju.com

 

加藤文元著『宇宙と宇宙をつなぐ数学』読了。ABC予想を証明したとされる京大の望月新一教授のIUT理論について数学の知識を(あまり)使わずに読み物として説明する本。面白い。

www.kadokawa.co.jp

 

パラレルに存在する複数の宇宙で別々に計算して、それを通信するという話からは、ディヴィッド・ドイチュの量子コンピュータの話を思い出す。どれも噂話しか知らないけど、複数の宇宙が出てきて、21世紀は複数の宇宙をコーディネートする時代なのかもしれない。

 

makotonomura.hatenablog.com

 

ちなみに著者の加藤文元さんは同じ年で京大理学部出身なので、どこかですれ違っていたかもしれない、と思って読んだら、あとがきを書いてる本書のきっかけを作ったドワンゴ川上量生さんも同じ年で京大に在籍していたとのこと。で、望月教授も1968年生まれ。

 

9月に鍵盤ハーモニカを偏愛する南川朱生さんとライブすることに。ゲストの飯塚直さんという方も初めてで楽しみ。

www.pianonymous.com

 

バルトークのヴァイオリン協奏曲の編曲譜面を少しだけ書き、島原で録音した子どもたちの演奏の音源を少し編集し、《混声四股合唱》の歌の楽譜を少し整理した。

千住の琴/《ツレツレ・サリレント》

『キタ!千住の1010人』に向けてリハーサルしている夢で目覚める。千住と言えば、『日本の音楽・アジアの音楽6』(岩波書店)の三谷陽子『近世文人の教養としての音楽ー琴と箏ー』を読んでいたら、千住が出てきた。

 

このような琴の集いは、すでに江戸で宝暦二年(1752)に行われている。千住にある甲良屋敷の雲和亭で三月に花宴の催しがあり、甲良氏の孫坂上登が風流の士を招いて琴を弾じ、詩を詠み画をたのしみ、碁に興じた。(中略)この花宴に集まった風流人のうち僧曇空は「秋風辞」を弾じ、新豊禅師、坂上登も琴を弾じたのしんだという。

 

273年前に千住で楽器、詩、囲碁を楽しむ人々のことを想像すると、今の「音まち」の活動にも繋がるなぁ、と思う。

 

昨年度の『世界のしょうない音楽祭』の動画が公開になった。ワークショップに基づき野村が作曲した《ツレツレ・サリレント》の演奏を聴き懐かしく思う。舞台上と舞台下に分かれて合奏しているので、アンサンブルが難しく、録音も手こずっていて、実際のライブ会場では、もっと色々な音が鳴っていたのだけど、、、。でも、現場のサウンドを想像しながら聴いていただければ、、、、。

www.youtube.com

 

島原で録音した音源を編集作業を少しだけ進める。セミが鳴き始めたので、いよいよ本格的に夏が始まる。

Kyle Gann『The Arithmetic of Listening』

島原から有明海を渡って、熊本に帰る。

 

Kyle Gann著『The Arithmetic of Listening』読了。音律についての理論的な本で、非常に理路整然としていて分かりやすく、しかも様々なマニアックな音律についても説明しているので一家に一冊あると良い本。

 

ミーントーンという長3度が純正に響く調律方法がヨーロッパで何百年と使われていて、現代の平均律というのは完全5度はかなり純正に近いけど、長3度が狂いまくってる調律なので、鍵盤ハーモニカをミーントーンに調律してみたら世界変わるかもな、と思った。(28年前、純正律ケンハモを目指したが、ピッチが不安定な特性に合わないなと計画は頓挫した。今度こそ、、、、)

 

www.press.uillinois.edu