野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ピアノの引越

ベートーヴェン交響曲第7番にちなんだ新曲を作曲している。ベートーヴェンの7番は、ドレミファソラシドと上っていく音階を連続したかと思うと、ドドシララソファファミレと下がっていく音階が出てきたり、シラソファミレドシと下がっていったり、こんなに音階を上ったり下がったりするので40分もの交響曲をやるものだ、と改めて、そのしつこさに感嘆するばかり。タイトルは、「迷惑野郎の問題行動 ベートーヴェン250」から、「迷惑野郎の美しい音楽!ベートーヴェン250+」と少し変わってきた。もう少し考えよう。

 

本日は、ピアノ運送業者が来て、ピアノが家の中で移動し、調律師の上野さんがやってきて、彼の発明のスティムフューチャーの取り付けを念入りに行い、調律をし、防音対策をいろいろ伝授され、家の本棚などが猛烈な勢いで移動し、本棚でピアノの防音壁を作ったりする。いきなり本棚の部屋ができて、思いもかけない部屋のレイアウトに驚く。上野さん、ありがとうございます。本屋とピアノの相性はいいのかもしれない。それにしても、防音は奥が深く、改めて音の不思議について、学ぶことが多い。家のレイアウトが変わり、根本的に暮らし方が変わるので、そうした変化を楽しんでいけるように、柔軟に日々を送ろうと思う。

 

 

 

アコーディオン協奏曲の日本初演は、3月10日

明日、ピアノが家の中で引っ越すので、そのための片付けなどの作業をして後、ようやく散髪に出かけて、すっきりする。その後は、作曲。今書いている曲は、3月28日に豊中で、アコーディオニストの大田智美さんと演奏するのだが、3月10日に東京で大田智美さんのアコーディオンリサイタルがあり、そこでは、野村の2008年の「アコーディオン協奏曲」の日本初演が行われる。あ、砂連尾理さんの誕生日だ。

 

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《帰ってきた千住の1010人》30人バージョン

「千住の1010人 in 2020年」開催の5月31日まで、残り127日。本日は、東京藝術大学千住キャンパスの第7ホールにて、企画発表会を開催。「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」と、企画趣旨説明、最後には、「ボロボロボレロ!ワンダフル!」の試演までやった。約60名ほどの参加者のうち、半分くらいが2014年の「千住の1010人」に参加された方。半分の方は、今回が初めてという方だった。J-COMの取材も入ったので、これは何かで放送されるのかな。

 

放送と言えば、我が「だじゃれ音楽研究会」が、高田純次さんのテレビ番組で紹介されることになり、明日だか明後日だかに収録だそうで、「千住の1010人 in 2020年」をしっかりアピールしてもらう予定。

 

ある特定のジャンルの音楽を演奏するのに1010人集めるのではなく、ノンジャンルな音楽の演奏に参加しようという人を1010人集めるのは、本当に大変なことだ。しかし、そうやって多様な人々が集い、思想や宗教や理念や価値観が違う人が一緒の場で音を奏でる体験が実現できれば、この世界の見え方/聞こえ方が、少しだけ変わるかもしれない。そんな願いを込めて、この企画を準備している。

 

だじゃれ音楽研究会のメンバーを中心とした30人で、「帰ってきた千住の1010人」の全シーンを一度やってみた。実際にやってみると、いろいろイメージできるし、1010人でやるときの難所なども浮き彫りになる。さらには、メメットの新曲も譜面を見ながら、やってみる。これは、五線の楽譜が読めてある程度練習すると、非常に効果的。1010人で演奏するよりも、もう少し少ない人数の方がいいかもしれない。または、これを1010人で可能な形に、再編するのか。

 

帰りの新幹線の車中で、「迷惑野郎の問題行動 ベートーヴェン250」の作曲を進めるが、眠くなりウトウトする。作曲しているうちに、それほど迷惑野郎でもない気もしてくる。

 

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アナンのパペット指揮者とブラウンのモビール指揮者

11月の東京大学でのシンポジウムの抜粋が、東京大学新聞に掲載されるとのことで、校正。ちょうど2ヶ月前。懐かしい。

 

ロンドンで展示した「しょうぎ作曲」の楽譜9点「1999 Calendar」がロンドンより返ってくる。こんな裏紙にやった楽譜がアメリカで出版されたり、イギリスで出版物に掲載されたり、世界各地で展示されていることが、嘘のようで不思議だ。

 

引っ越しの作業がようやく落ち着いてきて、防音と断熱作業が始まっているが、今日は、楽器の整理。今までとりあえず詰めて収納していた楽器を分類して整理し直し、ようやく落ち着く。2010年に「北斎音楽」をやった時につくったバチもきれいに掃除。あの時は、北斎の生誕250年だった。今年はベートーヴェンの生誕250年。ということは、北斎ベートーヴェンの10歳お兄さん。モーツァルトの4歳弟にあたるのか。

 

新幹線で東京に移動。新幹線の車内で、少し作曲を進める。今の予定のタイトルは、「迷惑野郎の問題行動 ベートーヴェン250」。香港の知的障害者施設JCRCのアート部門i-dArtに滞在中の即興の動画から、ベートーヴェン知的障害者の交差点を見つけては、楽譜に書き込んでいく作業。

 

そんな風に香港のことを考えながら作曲していると、3月の香港のコミュニティ音楽に関するシンポジウムについて、ピートから連絡がきたり、9月に香港で「問題行動ショー」を上演しようと、JCRCの副施設長のメーリンから連絡が来たりする。

 

そして、家の防音について、いろいろ考える。防音には、色々な困難や工夫があり、これ自体がアートのようでもある。「防音アート」というプロジェクトをやってみてもいい気がする。美術家の藤浩志さんだったら、ぬいぐるみを使いまくって、不思議な防音壁をつくるかもしれないなぁ。どんな防音壁を作ったらいいだろう。いろいろな工夫ができそうだ。

 

ちなみに、作曲の合間の読書が、「Beyond Notation - The Music of Earle Brown」。ニューヨークスクールの作曲家として知られるアール・ブラウンについて、今まであまり深く接点がなかったのだが、こうしたまとまった論考集が出ているので、読んでみようと思って読んでいて、面白い。ちなみに、カルダーのモビールに影響を受けた「Calder Piece」が有名だけど、あれはモビールが指揮者。よくよく考えると、「千住の1010人 in 2020年」でアナン・ナルコンが巨大な人形を指揮者にしようとしていることの参考にもなる気がした。見直してみよう。

 

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フランクザッパの自転車演奏

福岡県の春日市のふれあい文化センターの樋口さんと電話ミーティング。昨年の夏に、「フルーツバスケット・オーケストラ」ワークショップを開催して好評だったために、続編を計画中。なんでも来年はホールの会館25周年らしく、25周年を祝して25曲作ってみるのも面白いかもしれない。幼児のグループと8曲つくる。小学校低学年と8曲つくる。大人(高学年以上も含む)と8曲つくる。全員で1曲。25曲も作ると、いろんな曲ができそうで、いろんな人が輝けるチャンスもできそうな気がする。あくまで案なので、実現できたらいいなぁ。

 

福岡といえば、昨年の九州大学でやったワークショップの映像が公開になった。この講座、改めて見直してみて、思い出してみて、学ぶことの多い刺激的な場だった。

 

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調律師の上野さんがご夫妻で訪ねて来られて、ピアノの防音について、いろいろなアイディアを伝授してくださる。その中の一つに本棚で防音壁を作っていく、という発想があった。図書館でコンサートをしたこと、本屋でコンサートをしたことがある。そして、どちらも本が吸音するのか、非常に音がクリアになる印象があったが、本の重みが低音の振動を止めているのか。図書館の音環境は、面白いなぁ。

 

「迷惑野郎の問題行動 ベートーヴェン250」を作曲中。譜面を書きながら、香港でのワークショップの動画を何度も見る。知的障害の人々とのワークショップ動画の音声が、アコーディオンとピアノの曲と重なるのも良さそうで、音源を流すことも考え始めた。

 

スコットランドパーカッショニストJane Bentleyがブリティッシュカウンシルの助成で、3月末ー4月上旬に日本に来る。その日本側のパートナーに、野村と吉野さつきさんがなっているので、その会議。スコットランドはランチタイム、日本は夜。Janeのやっている自転車オーケストラも面白い。そして、関連動画で見た若きフランク・ザッパがテレビ番組で自転車を演奏するのも面白い。

 

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防音と断熱と香港とベートーヴェン

鍼灸に行き、体調を整えてもらう。

いろいろ書類の手続きなども行う。

里村さんと濃密な打ち合わせで、いろいろ新企画が浮上する。

 

ベートーヴェンについて作曲していたのだが、自宅の防音面で不備が多く、近隣にご迷惑をかけている自分に気づく。本当に申し訳ない。表現と迷惑は表裏一体で、その調整は常に生きていく上で課題になってくる。とりあえず、防音のために、家に手を入れると、断熱にもなって、家の密閉性があがり、防寒対策になる。そうしているうちに、香港の住宅街で、i-dArt知的障害者の施設JCRCでのアートプロジェクト)のメンバーとコンサートを行った時に、近隣の方が苦情を行って来られたことを思い出し、ベートーヴェンと、i-dArtのメンバーが、急に一本の線で繋がった。

 

i-dArtは、I do different artの略でもある。「障害者アート」と括られることに違和感を覚えて、different artと言っている。もし、「障害者アート」という言葉があるとするならば、難聴だったベートーヴェンの作品は、「障害者アート」と分類されるのかもしれない。障害と自由とベートーヴェンに関する音楽を、ぼくは書くのか、と思った。そして、表現と迷惑の表裏一体についても思った。問題行動のレッテルをはられた知的障害の人の表現のこと、社会の常識をぶち壊す問題行動作曲家のベートーヴェン。そう考えているうちに、新曲のタイトルは、「迷惑野郎の問題行動 ベートーヴェン250」となった。

 

近隣にピアノの音で迷惑をかけてしまったことに、心を痛めつつ、そのことに気づかせていただいたお陰で、香港の知的障害施設での経験とベートーヴェンを、結びつけることができた。お詫びと感謝である。昨日まで作曲した譜面に、これから香港の福祉施設での3ヶ月の滞在の記憶を書き込んでいこうと思う。ベートーヴェンと、i-dArtのメンバーの様々な共通点を見つけていこうと思う。そして、自由を渇望するベートーヴェンに、i-dArtのメンバーの表現をぶつけてみたい。

 

3月上旬には、また香港に行く。たくさんのベートーヴェンと再会できるのも楽しみだ。

 

ドボルザークと祇園精舎

大阪音大にて、「世界のしょうない音楽ワークショップ」の本年度2回目。本日は、日本センチュリー交響楽団の5名の音楽家によるワークショップ。ドボルザークの「新世界より」の第2楽章を題材にしたワークショップ。箏や三味線や琵琶やシタールガムランや打楽器やヴィオラダガンバや尺八やクラリネットやヴァイオリンやヴィオラやチェロで奏でると、ドボルザークは19世紀の新世界であったアメリカにいるのか、21世紀の大阪の新世界にいるのか、また世界のどこか新たな新世界にいるのか、不思議な気分になるのだった。後半は、それを受けて、野村の進行で、ドボルザーク祇園精舎が交差した。

 

昨年は、このワークショップをベースに「青少年のためのバリバリ管弦楽入門」を発表した。今年は、どんな曲になっていくのか。次回のワークショップでは、ドボルザークでも、祇園精舎でもない、音楽の冒険をしてみよう。

 

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