野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

不知火光右衛門の墓/Over 50で楽しむ善三展/パトリア音楽工房

里村さんが仕事が休みなので、彼女の運転で坂本善三美術館に出かけることに。阿蘇の山の方なので、車で1時間半ほどのドライブ。

 

運転中に偶然、不知火光右衛門の墓に遭遇。第11代横綱で、江戸末期に活躍し、明治に入ってから引退の力士。

allkumamoto.com

 

坂本善三美術館では、展覧会『Over 50で楽しむ善三展』が開催中。

 

sakamotozenzo.com

 

小国町の医療・福祉施設と連携して、50歳以上の方々の様々な制作や活動を坂本善三の作品とともに紹介する展覧会。高齢者という言葉は使っていなくて、50歳以上の人という枠組みなのだけど、よくよく考えたら、ぼくもOver 50だなぁ、と思う。Over 50の方々の表現が満ち溢れた展示室の中で、坂本善三の作品が埋没しているのも面白かった。坂本作品は、白い壁の展示室で映えるけれども、近くにインタビュー動画のモニターとかあると、液晶画面の発する光が明るく、善三の絵の色が埋もれていく。カラフルな編み物とか、親子の絵葉書のやりとりとか、そうした日々生み出されるものの中に、埋もれた坂本作品だが、今回、色々な年代の色々な作風の作品が見られたので、そこも面白かった。

 

その後、さらに山道を行きパトリア日田に。『どんどん日田どん!』の公演まで2ヶ月を切った(1月29日が本番)。この公演の担当者が川端都古さんに変わる。高村木材さんから、オリジナル木琴、オリジナル柱太鼓、オリジナル木シンバル、オリジナル木ペダル太鼓が届いている。木のデザインで、見た目にとても美しい。

 

夜は『パトリア音楽工房』の5回目。オリジナル木楽器での演奏、吹奏楽と共演する《おでこが弱点だ》などを練習。既に練習している《たたみ石》、《一番太鼓》、《カエルのカノン》なども練習。でも、練習の合間に、突然、楽器で「ドレミの歌」が始まったり、「ジングルベル」になったりする。本番が近づくと、とかく練習しなくちゃと思いがちだけど、時々、原点にかえって、合奏をする喜びを味わうのも大切だ。焦らずに進めよう。

 

本番のプログラムのための写真撮影が行われた。今年は、あと1回。1月中旬に1回来たら、あとは本番直前の通し稽古になる。まだまだ、みんなで遊んでいるように見えるけど、実は、本番に向けて仕上げに向かっている。次回は通すよ!

 

 

 

 

 

 

海上の太陽、作者の名前は宇野千里さんです

宇城市不知火美術館・図書館の美術館学芸員の里村真理さんの企画で、町中でのワークショップ「とびだす美術館」に関わっていて、さらに、そのワークショップを12月15日から始まるコレクション展『表現は日常にこだまする』とリンクさせるという一石二鳥企画に取り組んでいる。

 

(1)子どもたちに、美術館のコレクションから好きな作品を選んでもらい、その作品を美術館で展示する

(2)選んだ作品を題材に、音楽をつくる

(3)その音楽を録音し、野村がアレンジし、音源をつくる

(4)その音源を展示室で流す

(5)ワークショップのプロセスを動画で記録し、展示室で流す

 

といった感じ。本日は、その第1弾で、宇城市小川町の延福寺での寺子屋の活動とリンク。1〜4年生の子どもを中心に40人くらいが集まる。住職の能令さんご夫妻が毎週水曜日にお寺を開放して、子どもたちが宿題をしたり、遊んだり、子ども食堂があったりする。美術館からは、里村さん以外に、スタッフのワキタさんも来る。映像撮影の山村さんも来る。

 

鍵盤ハーモニカ・イントロダクションで導入したら、笑い転げるほど、笑ってくれる。子どもたち、反応がとても良い。その後、8作家の8作品をスライドで見せて選んでもらうと、事前に予想しなかったような絵が選ばれていき、最終的に、宇野千里《海上の太陽》という絵が選ばれる。

 

www.museum-library-uki.jp

 

さて、この絵を見て歌を作ろうと、歌詞になる言葉を考えた。海があって、日没の光景を描いた絵で、歌詞にするにも情報量少ないし、何が見えるだろう、と思うのだが、「明日への扉」と言った子がいて、夕日が沈むということは、次に日がのぼるのは明日なわけで、日没の向こうには「明日」があるのか、と思った。

 

夕焼けこやけ また明日

太陽 ぴっかぴか

海にうつった太陽

紫の雲 また明日

うめぼし ぴっかぴか

水にもぐる太陽

ぴっかぴか

 

という歌詞の歌ができる。子どもたちは、すごいスピードで歌を覚えて、元気いっぱいな声で歌って、レコーディング完了。せっかくなので、

 

次の曲は、「海上の太陽」です。

作者の名前は宇野千里さんです。

 

も録音した。帰宅後、子どもの声に合わせて、ピアノを多重録音して、デモ音源を作ってみた。

 

夜、里村さんと砂連尾理さんとオンラインで話し込んで、いろいろ今後の人生のことなど考えた。里村さんも、ぼくも未開拓の領域に踏み込んでいくのが好き。

 

吹奏楽の譜面完成/馬方弁天

2023年1月29日に、大分県日田市民文化会館(=パトリア日田)にて、開館15周年記念コンサート

 

野村誠プロデュース

オリジナル日田ミュージック

どんどん日田どん!

林業祇園囃子・相撲の神様大蔵永季をテーマにしたコンサート

 

を開催する。今日は、吹奏楽の4曲の楽譜の手直しをした。中学生とか高校生の吹奏楽のために譜面を書いたことが実はなく、どれくらい吹けるんだっけ、と思い、2007年のえずこホール10周年の『十年音泉』の時の白石女子高校吹奏楽部の演奏で鶴見幸代編曲の《幻覚協奏曲》の演奏をDVDとスコアを照らしながら確認。高校生の技量を思い出して、改めて自分の書いたスコアで難しそうなところを、もう少しやさしくできないか検討して修正して後、譜面を送る。

 

午後は、門限ズと内浦有美さんとのオンライン会議。内浦さんは、妖怪や民話を研究する方。3月5日の豊川稲荷門前町での門限ズ公演のためのアイディアをいただくべく、本日のミーティングに。

 

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移動型のパフォーマンスの中で、三明寺でのパフォーマンスを考えるにあたり、馬方弁天の民話が興味深かった。

 

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パープルリボン作曲賞/田渕ひかりさん/弦楽オーケストラ

城崎国際アートセンターでの滞在を終えて、大阪に移動。移動の車内で、パープルリボン作曲賞の講評を書く。他人の作品についてコメントするのは、なかなか心が鍛えられる体験。的外れなことを言ってるかもしれないけど、ぼく自身が思ったことを率直に書かないと、審査員としての責任は果たせないので、正直に書く。

 

大阪に着いて、「世界のしょうない」ワークショップまでに少し時間があったので、田渕ひかりさんとお茶をした。ジョグジャカルタに長年留学してガムランの修行をされた方で、もともとビジュアルのセンスの優れた方で、来月に京都で行う展覧会に向けて準備されているとのこと。昨年、出産されて、母親にもなられた。

 

大阪音大にて、「世界のしょうない」ワークショップの2回目。弦楽器の楽器体験の30分の後、

 

1)「日本センチュリー交響楽団」のリズムで手拍子

2)「大阪音大」のリズムで手拍子

3)弦楽器をラジオ体操の動きで指揮

4)弦楽器を手首ブラブラの動きで指揮

 

をして後、各パートでクリエーション。

 

5)波打ち奏法

6)お腹ポコポコ奏法

7)羽ばたき奏法

8)恐竜の歩き奏法

9)恐竜の鳴き声奏法

10)左右に揺れ伸び上がり奏法

11)ジャンプ奏法

12)太極拳奏法

 

などが生まれた。初心者の弦楽オーケストラなのだが、すごい豊かなサウンド。録音しておきたかったなぁ。次回も楽しみ。

 

 

 

 

 

1ヶ月前に生まれた伝統芸能

城崎国際アートセンターでのワークショップ。

 

①10/9 ㊐ 14〜17 時 講師|つるみん(=鶴見幸代)
②11/27 ㊐ 14〜17 時 講師|のむろん(=野村誠
③12/18 ㊐ 14〜17 時 講師|もみー(=樅山智子)
④最終回 3 月中旬(日程未定) 講師|ジャクシャ3人

 

前回の鶴見のワークショップを踏まえての今回。前回どんな曲を作ったのかを、参加した子どもに聞いてみると、覚えているところと忘れているところがある。ビデオを見れば、すぐに再現できるのだが、敢えてビデオがないことにして思い出そうとしてみる。1ヶ月半前に作った音楽だが、正確には思い出せない。でも、少しずつ手がかりが見つかる。それは、まるで途絶えた芸能を復元するための取材をしているようなプロセスだった。そして、完全に正確ではないかもしれないけれども、だいたいこんな感じであったという音楽や振付などが復元された。そして、みんなで練習した。面白い作業だった。

 

続いて、宿題にしていた地域の芸能とかお祭りのことで、だんじり祭りの太鼓のリズムを教えてくれた。城崎と豊岡でも太鼓のリズムが違う。異なる太鼓のリズムを重ね合わせてみたり、別々に奏でてみたりした。これも、なかなかよかった。

 

休憩の後、みんなでリコーダーで竹野相撲甚句の前唄をやってみた。いろんな楽器を楽しむ中、きらきら星と竹野相撲甚句を合体させて演奏もした。充実の3時間だった。

 

そうしているうちに、大相撲九州場所の千秋楽が意外な結果で幕を閉じる。夜は、アートセンターの橋本麻希さん、吉田雄一郎さん、滞在アーティストの太田奈緒美さんと夕食をしながら、サッカーのワールドカップをテレビ観戦。ワールドカップ、全然見てなかったけど、巻き込まれて見た。

 

 

砂連尾さん/吹奏楽/鶴見作品/城崎へ

束の間の東京。移動の前の時間に、ダンサーの砂連尾理さんと会う。互いの近況など話し合う。5月に十和田で共演して以来、半年ぶりの再会。

 

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移動中の車内で吹奏楽の譜面を書く。1月29日のパトリア日田15周年記念のコンサート

 

野村誠プロデュース オリジナル日田ミュージック

どんどん日田どん!

林業祇園囃子・相撲の神様 大倉永季をテーマにしたコンサート

 

のための作曲作業。

 

城崎温泉に到着間際に、鶴見幸代作曲の《竹野相撲甚句ファンファーレゲエの大冒険》がの動画が公開になった。7月に石﨑真弥奈(指揮)、安永早絵子(打楽器)、神戸市室内管弦楽団、神戸市混成合唱団により世界初演。プロデューサーは柿塚拓真さん。以下の動画の55分あたりからが鶴見作品で、アンコールでは、鶴見が四股を踏んでいる。

 

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城崎国際アートセンターに到着。抗原検査も陰性で無事チェックイン。

第1回パープルリボン作曲賞

第1回パープルリボン作曲賞の本選会。36曲が応募されて、譜面審査で残った13作品が次々に演奏されるコンサートが行われた。13曲の作曲者のうち、11人が出席。全てがピアノ曲で、作曲者による自作自演もあったので、7人の違ったピアニストがピアノを弾き、同じ楽器なのに奏者が変わると全く違う音がするので、そういう意味でも味わい深いコンサートだった。作曲賞なので、事前に全ての譜面に目を通し、何度もピアノで弾いて確認し、それぞれの作品に関する自分なりの評価をした上で、今日のコンサートに望んだ。今日のコンサートでの演奏で判断してしまうと、演奏の出来栄えで、名曲にも駄作にもなる振れ幅があるけど、作曲賞なので、作品をどう評価するかを考え、事前の準備に時間を割いた。それでも、本番の演奏で気付かされたことは数多くあり、短い準備期間にも関わらず、ピアニストの方々が真摯に取り組んで下さったことに感動した。多くの譜面を何度も読む作業は、かなり自分の時間を奪われる大変な作業だったが、今日のコンサートで報われた。苦労の甲斐があったと思った。

 

終演後、記念撮影をしたり、作曲者や演奏家の方々が交流し合っている光景を見るのは嬉しかった。今日をゴールに終わるのでなく、このコンサートがきっかけで色々な繋がりが生まれるのであれば、審査員として関われた意味が少しはあったかと思う。

 

本当は演奏家や作曲家の方々と打ち上げでもしたいし交流もしたかったけれども、草柳さんと清水さんとの審査。臨床家としての草柳さんの視点、ピアニストとしての清水さんの視点は、大変、勉強になった。それぞれの作曲家の魅力を感じれば感じると同時に、それぞれに期待することも色々あった。最終的に受賞作品を選出したが、選出されなかった作品が選出された作品より劣っているわけではないことは、強調しておきたい。今回の「パープルリボン作曲賞」および「ひまわり賞」のコンセプトに適した作品が選ばれたが違った観点から審査すれば、当然、別の作品が選ばれるだろう(これは、お世辞とか社交辞令で言っているのではないし、受賞作品の決定に不満があるわけでもなく、本当にそう思う)。

 

その後、木方幹人さんのお宅に泊めていただき、つもる話もした。

 

1 澤 勇輔「視線」(pf=御園生瞳)
2 田中  弦大「ピアノのための5つの小品」(pf=立木彩音)
3 三善 有希乃「空の、Rhythmの」(pf=三善有希乃)
4 濱川 礼「翻訳できない言葉」組曲 (pf=御園生瞳)
5 松岡 佳歩「⾔葉の棘」(pf=立木彩音)
6 次郎丸 智希「summer garden」(pf=次郎丸智希)
7 天岡 寛晋「INTERMEZZO」(pf=御園生瞳+眞鍋杏梨)
=休憩=
8 持麾 勉「まなざしを上げて Keep Your Head Up!」(pf=立木彩音)
9 小日山 拓也「Boleh Boleh BOLERO」(pf+gender=小日山拓也)
10 内海 治夫「焦燥から安定へ」(pf=御園生瞳)
11  千葉 理平「眠る姫よ、メロウな⾵だ」(pf=御園生瞳+眞鍋杏梨)
12 池田 文麿「パープルリボンの為のエチュード」(pf=清水友美)
13 山本 学「ピアノのためのパープルリボン・レジリエンス」(pf=御園生瞳)
〔特別演目〕
清水友美「『ひまわり~DVをのりこえて』1人の演者のための試作II」