野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

シルヴァンと共同作曲中

パリでの滞在制作がつづく。午前中は、リハーサルがないので、香港の国際会議に提出した発表の要旨(英文)を日本語訳してくれ、とベリーニに言われたので、日本語訳して送る。続いて、香港での発表のためのパワーポイントを準備し始める。

 

午後は、京大吉田寮を彷彿とさせる自由な雰囲気のStudio Albatrosでの最後のリハーサル。よくよく考えると、淡路島で「瓦の音楽」のためにゴルフボールを提供してもらったゴルフ練習場もアルバトロスという名前だった。不思議な縁だ。

 

本日は、音楽家のシルヴァンも加わってのクリエーション。これまで作った音楽がどんなものか。どのシーンに音楽が必要か、などを話し合い、今日は、シルヴァンと野村のコラボによる曲の作曲作業。ピアノの生演奏と、瓦や打楽器の装置での自動演奏の共演の曲。鍵盤ハーモニカの生演奏と、瓦や打楽器の装置での自動演奏の曲を考えた。シルヴァンとは今回初対面だったので、コミュニケーションがうまくいくか心配だったが、何の問題もなく音楽創作ができる。

 

個人的にジャグリングの練習もしていて、少しずつ上達。楽しいクリエーションの日々がつづく。ちなみに、10月5日、6日が神奈川芸術劇場( KAAT) で世界初演で、そこは野村が生演奏で出演するスペシャルバージョン。その後は、野村なしで日本やヨーロッパのツアーになる。だから、野村なしバージョンのために、野村の音楽のレコーディングもしなければいけない。そうしたスケジュールも、逆算して考え始めるほどには、クリエーションは順調に進んでいる。

 

 

 

creative mobilitiesとジャグリングとDJ

今年の1月に京都で出会ったValeria Marcolinが、今日だけパリにいて時間があるので、会おうと連絡してきたので、ランチをする。ヴァレリアは、乗り物とアートや文化をつなぐプロジェクト「Creative Mobilities」を行なっていて、2017年には、第1回の「Creative Mobilities Forum」を開催した。彼女は、ぼくの香港でのトラム(路面電車)での演奏などに興味を持っている。また、アフリカの途絶えそうな文化を残すための活動などもしている。電車やバスや飛行機などの乗り物を、人々が交流したり、創造的な活動ができる場と考えてのプロジェクト。今度、十和田市現代美術館で行う予定の北沢潤くんのプロジェクトの話や、スコットランドのJane Bentleyの自転車オーケストラの話など紹介する。ウェブサイトを見せてもらい、いろいろ説明してもらう。面白い人だし、アートの世界と鉄道やバスや自動車などの世界を結びつけるところが面白い。最近グルノーブルでやったプロジェクトでは、バスの路線のところに馬車を走らせたり、ワークショップで子どもたちが馬車に乗って作文したりする。以下にあるのが、ウェブサイト。

 

creative-mobilities.org

その後、今日もジャグリング公演のリハーサル。今日も、昨日と同じStudio Albatrosは、鎖で瓦楽器を演奏するテクニックを発見。これが意外に面白いので、今度、會田瑞樹くんのために作曲する予定のヴィブラフォンの独奏曲(来年の2月に世界初演の予定)のヒントになった。渡邉尚くんのソロのシーンのために、鍵ハモの独奏曲をつくる。とても良いシーンになりそうで、ギヨームが携帯で録音すると言って、曲を録音する。次に、妖怪オーケストラのシーンの曲をつくるために、歌をつくる。ギヨームが日本語で歌詞を考えてくれて、彼の日本語がネイティブでないので、日本人では思いつかないような歌詞になる。その歌詞になるように野村がメロディーを作曲。それを瓦楽器で演奏したりすると、みんな驚く。次々に曲ができていくので、「音楽家の力を見せられた」と喜んでもらえる。また、音楽をつくることで、各シーンの意味付けやキャラクターが明確になってくる。もう一つ別のシーンの音楽をつくる。これは、ピアノの音楽になるかも。

 

創作が順調に進んだので、ここで今日の創作を切り上げ(3時間くらいで終了)、ホームセンターに行って、鎖やスティックや雨樋の筒などを買う。ジャグラーが色々な日用品でジャグリングをするように、音楽家は色々な日用品で音楽をする。音楽家ジャグラーの共通点に興奮し喜ぶ尚くん。

 

夜は、カーニバルの野外パーティーに行く。数百人の人々が集っていて、DJの音楽で踊っている。シルヴァンが DJをしていた。彼がDJしている様子を見れたのもとてもよかったし、楽しく踊った。明日は、またシルヴァンと音楽創作だ。

 

ということで、今回のパリのレジデンス1週間の前半半分が終了。いよいよ明日から後半戦。

 

 

 

 

 

 

 

シルヴァンとの初稽古

パリにて、ジャグリングカンパニー「頭と口」の日仏共同作品のクリエーションに参加中。パリ郊外のモントルイユにあるStudio Albatrosというアートスペースで稽古。由緒ある映画スタジオを取り壊しにするのを反対する人々が自主運営で、ここを運営しているらしい。京大の吉田寮のような雰囲気のところ。

 

http://www.espacealbatros.fr/

 

今日から3月27日まで、尚くん、桜子さん、ギヨーム、シルヴァンとのクリエーション。この作品は、日仏の二人のジャグラー(尚とギヨーム)と日仏の二人の音楽家(野村とシルヴァン)で共同制作するのだが、シルヴァンとは今日が初対面。日本から、ギヨームや尚くんが持ち帰ってくれた5枚の瓦をゴルフボールで自動演奏する装置が完成していて、ぼくがすごい、ファンタスティックと大騒ぎしていると、シルヴァンが、人間の手で叩くほどいい音がしないんだ、難しいんだよ、と言いながら、セッティングを細かく手直ししている。

 

ぼくも日本から持ってきた瓦の創作鍵盤楽器やペットボトル、鍵盤ハーモニカなどを、シルヴァンの装置と合わせて演奏してみる。既に、相当面白い音楽になっていて、楽しい。

 

ギヨームが、フランスの古い瓦を6枚ほど持ってきてくれる。これが、なかなか良い音がする。イタリアで演奏したイタリアの瓦と似た感じ。

 

シルヴァンと早速音楽のクリエーションを始める。センスと勘のいい人なので、それほど説明しなくても、こちらの意図もわかってもらえるので、スムーズに音楽が生まれてくる。

 

今日は、シルヴァンは4時半に帰らなければならなかったので、その後は、シルヴァンなしのシーンの創作。遊んでいるような感じで、アイディアが膨らんでいくが、そこから、色々議論をして、論理的に方向性を整理して、新しいシーンが練り上がっていく。楽しい創作の現場。

 

ということで、ヘトヘトになるまで稽古。

 

ジャグリングを練習

ヨーロッパに着いてすぐは、通常、早起きになる。今日は、予想通り6時起床。

 

今日は、ギヨームがパリでないどこかでショーをやっているらしく、今回のパリ滞在でリハーサルがない日なので、のんびり過ごす。尚くんにジャグリングやストレッチを教えてもらう。とくに、複数のボールを投げているのも、上手な人のを見ていると、非常にリズミカルで音楽のようである。音楽だと思ってみると、なんだかやれるんじゃないか、という気になり、練習してみる。やってみると、少しずつコツがわかってくる。ここにいる1週間で、少しでもボールと仲良くなると、ピアノを弾く上でも身体の使い方が変わるかもな、と楽しくなる。

 

そうやってジャグリングのボールをお手玉のようにやっているうちに、いろいろ音を楽しみ、袋の中に詰める物を色々物色しようと、ホームセンターに出かけていく。ホームセンターは音楽家の目で見ると楽器に見えるものがいっぱいだが、ジャグラーの目で見ると、ジャグリングの道具に見えるのだそうだ。

 

「十和田十景」の8曲目の「オルガンとピアノ」を作曲する。保育園で右手でオルガン左手でピアノを弾いた思い出の音楽。残り2曲も、フランス滞在中に書きあげる予定で、4月6日に帰国した日に全10曲を推敲して完成の予定。

パリに着きました

ヨーロッパへ出発する時は、時差ボケ対策で、徹夜する。深夜の3時ごろに荷造りを始めて、朝6時に家を出て、関西空港に8時半に着き、チェックインし、10時に搭乗し、10時半に離陸。

 

移動の電車で1時間寝て、飛行機の中で5時間寝た。パリまで12時間のフライトなので、それでも映画を2本見ることになる。

 

到着したのが、フランスの15時(日本の23時)で、電車でパリ市内に出て、メトロでベルビルまで移動。待ち合わせの場所で、四股を400回踏んだら、ジャグリングカンパニー「頭と口」の渡邉尚くんと儀保桜子さんが現れる。10月に神奈川芸術劇場(KAAT)での日仏共同ジャグリング公演のクリエイションのためのフランス合宿1週間。彼らは、技術としてのサーカスだけでなく、定住する家を持たずに、自分の体と最低限の荷物を持って移動していくライフスタイル。かつて、居候芸術と言って、小川恭平や小川てつオが、ずっと人の家に居候しながら、そこで何かをしていたことも思い出されるし、文字通りノマドな暮らしぶり自体も興味深い。

 

ギヨームのアパルトマンに移動。気づくと1時間ほど寝てしまう。その後、尚くん、ギボさんと食事をしながら、語り合う。1ヶ月、ずっと無償でストレッチのワークショップをし続けた話や、野草や釣りなど自給自足を極めたい話、靴を履かない暮らしの話、交通機関や自転車を極力使わずにひたすら歩く話、助成金に申請しない話、などなど、興味深い話をいっぱいし、ぼく自身の今後のライフスタイルを考える上でも、とても良いヒントをいっぱいもらう。

 

話が面白く、なんとか22時半すぎまで起きていられて、23時頃に就寝。

 

performingarts.jp

Jくんの図形楽譜と「十和田十景」の作曲

今日は、小学1年生のJ君と音で遊ぶ日。でも、出かける前に、まず、「十和田十景」の3曲目「扉はいつも開いている」を作曲して、浄書。教会のオルガンの思い出。できるだけ、どの曲も1時間以内に作曲する予定。15分で譜面を書いて、J君の家に出発。

 

J君の家に行くと、ヘッドフォンで電子ピアノを弾くことをすすめてくる。面白い子だ。ヘッドフォンをして、ぼくがピアノを弾いていると、プリセットの音色をいろいろ変えてくる。そして、譜面台の上に、手書きのとんでもない楽譜がある。なんと、J君が描いた楽譜。五線譜と絵が混合したような楽譜で、普通に弾くのは困難な難曲。音でイメージしたのではなく、視覚的に描いた楽譜だから、超難しいし、調合(#や♭)も意外なところについている。弾いていると、シェーンベルクの無調の音楽のような響きになったりして、面白い。気がつくと、ヘッドフォンの線は抜かれていて、Jくんが「今、どこを弾いてるの?」と聞いてくる。作曲者も、どこを弾いているかわからないようだ。

 

このシェーンベルクのような音楽に触発されて、J君は無調でピアノのデタラメ即興を始めるが、あまりにセンスが良いので唖然とする。この子、天才かも。半音階での即興になったり、ペンタトニック(5音音階)の即興になったり、ダイアトニック(ドレミファソラシ)の即興で転調したりして、楽しそう。散々、即興を楽しんだ後、「スパッゲッティマーチやろう」と言って、鍵盤ハーモニカを準備するJ君。初回の時に作った鍵ハモデュオの曲だが、今日は、以前よりも、もっとアドリブをいろいろ入れようとするJ君。自分がオクターブユニゾンで演奏して、それに合わせて、ぼくに三度上でハモるように指示してきたりする。そんなことをしているうちに、急に、鍵ハモで、真似っこ遊びになる。彼の出す音を、ぼくが真似をする。そうしているうちに、彼が気に入ったフレーズを見つけて、新曲ができる。それをぼくが譜面に書き留める。すると、これは、「スーパーマリオオデッセイ」だかなんだか言うゲームの音楽に似ている、と言って、その曲を鍵ハモで再現しようとしてくれる。今日のレッスンはそんな感じだった。何にしても、毎回、あまりの創造力の高さに驚かされる。

 

J君の家から帰り、洗濯の第2弾などをしつつ、「十和田十景」の4曲目、「ピアノ教室とあいとくん」を作曲。これは、3曲目とテイストが似ないように、軽快に。続いて、5曲目の「南部裂織保存会」を作曲。こちらは、渋く怪しげな曲。

 

ここで、香港のi-dArtと4月の国際会議の打ち合わせ。佐久間新さん、砂連尾理さんも一緒に。国際会議の開会式から、すでにパフォーマンス的な開会式らしく、本当に面白そう。ベリーニもメキシカも相変わらずのハイテンション。ああ、一年前に知り合ったばかりなのに、不思議だなぁ。故郷に帰るみたいな気分でもある。

 

「十和田十景」の6曲目の「コミュニティセンターのドルチェ」の譜面を書く。この曲は、既にできてたので、譜面を書くだけ。続いて、7曲目の「流木と絵本」を作曲。録音を聞いて、即興の中で出てきたフレーズを書き起こし、それらをちょっとアレンジしていく。できるだけ弾きやすいやさしい曲にしたいので、左手をシンプルに。

 

ということで、作曲はここまで。明日からフランスなので、大急ぎで準備をいろいろ。

 

ゲキジョウ実験!!!「銀河鉄道の夜→」と決まる

ゲキジョウ実験!!!「銀河鉄道の夜→」

 

ついに、鳥取で門限ズが長期で取り組んできたプロジェクトの最終章、11月の公演のタイトルが決まった。この公演、舞台美術で、藤浩志さんに関わってもらうことにもなったし、鳥取県の様々な音楽団体の協力も得られそうで、非常に楽しみがいっぱい。

 

音楽、ダンス、演劇、美術、マネジメント、などなど、様々な要素が複合的に組み合わさる総合音楽劇を、住民参加型で行う。それを、音舞劇と呼んでみようか?とか、超オペラ、ハイパーオペラ、オペラペラ、など、考えるが、結局、なんだかイメージがぼやけてしまう。それで、音楽であり、ダンスであり、演劇であり、ということを、一言で、劇場(ゲキジョウ)と言って表現してしまおうと。そして、そこで何をしたいのかを、集約すると、これは、古典を演じるのではなく、現在の鳥取が持っている可能性を演じるコンテンポラリーな舞台になる。その現在の鳥取の可能性を最大限に探求することを一言で言うならば、実験だろう。

 

劇場でどんなことが可能か、という実験。地方都市で地元の人々が集って、どのような創造的な舞台が作れるか、という実験。プラネタリウムや図書館や福祉施設やカフェや様々な場で、どのような出会いが演出できるのか?どのような文化が育まれるのか?という実験。オペラや歌舞伎やミュージカルや能や狂言などの様々な古典に見る総合芸術に匹敵する現代の総合芸術のあり方を追求する実験。

 

本日は、鳥取県立図書館に打ち合わせに行き、ゲキジョウ実験!!!が、図書館でも行われることになる。県立図書館ととり銀ホールは隣接しているので、図書館でワークショップや公演も行える。福祉施設のからふるも訪ねた。米子公演の衣装のためのペインティングで協力していただけることになる。色々なつながりが生まれるのは、本当に面白い。

 

ちなみに、門限ズ(=野村誠+倉品淳子+遠田誠+吉野さつき)は、クロスジャンルバンド。ロックバンドに役割の違う4人(ヴォーカル+ギター+ベース+ドラム)が集まっているように、音楽家+俳優+ダンサー+コーディネーターの4人で成り立っている。

 

そして、今後は、鳥取県で次のホップ・ステップ・ジャンプの3段跳びで、大いなる飛翔をとげる3段公演が行われる。乞うご期待!!!(敢えて、住民参加程度を、レベル1、2、3段階で表示すると、以下の通り)

 

第1弾 4月 米子公演 プラネタリウム劇場「音とカラダで銀河鉄道

出演者数:5、住民参加度:レベル1(簡単な観客参加) 

 

第2弾 7月 倉吉公演 タイトル未定(仮に、ワークショップ劇場「銀河鉄道の夜→」と呼んでみよう)

出演者数:25名程度、住民参加度:レベル2(1日みっちりワークショップの後の発表会)

 

第3弾 11月 鳥取公演 ゲキジョウ実験!!!「銀河鉄道の夜→」

出演者数:125名程度、住民参加度:レベル3(半年間のワークショップの末の発表)

 

ということで、京都に戻りました。