野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「ウグナヤン」が「千住の1010人 in 2020年」の参考になるなぁ

久しぶりの「四股1000」に参加。4月末に開始して、113日目。最近のぼくのブームは、「理想の蹲踞」。北斎漫画に描かれている江戸時代の人の股関節の柔らかさを意識して蹲踞している。それにしても、連日、「四股1000」ブログの文章を書いている鶴見さんと手書きノートを書いている里村さんは凄い。JACSHAのウェブサイトも読み応えがいっぱい。

 

8/18 四股1000 百十三日目 四股10000のスケジュール – 日本相撲聞芸術作曲家協議会 / JACSHA

 

今日は、ピアノでバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を弾いていたら、楽譜通りじゃなく弾きたくなって、右手をすごく高い音域で弾き、左手をすごく低い音域で弾いてみた。すると、右手の声部と左手の声部がコントラストが出て、それぞれのラインが聞きやすく面白い。ハーモニーは分かりにくくなるけれど、それぞれの動きがクリアになる。問題なのは、右手になったり左手になったりする内声で、低い方にいたのに、急に高い方にうつるから、それはそれで面白かった。こんな楽しみ方もあるなぁ。

 

その後は、「千住の1010人 in 2020年」の開催について、ずっと考えて過ごした。4ヶ月以上の間、ZOOMを使って遠隔で合奏をする可能性を、いろいろやってきた。4月の頭に、ZOOMを使って、世界中の50人の友人と一緒にリンゴを食べるというのをやった。50人が50個のリンゴを食べている音は、凄い面白かった。音は実験的なエレクトロ=アコースティック音楽で、見た目は和んだ。だじゃ研(だじゃれ音楽研究会)と、「帰ってきた千住の1010人」をオンラインでできないか試した。うまくいかないアイディアもあったけれども、うまくいくアイディアもあった。「千住の1010人 in 2020年」のこれ以上の延期や中止はあり得ないと思う。何と言っても「千住の1010人 in 2020年」というタイトルをつけたのだ。そして、タイトルをつけた時には、2020年がどんな特別な年なのか知らなかった。今となってみると、2020年は新型コロナウイルスで人々が集ない年だったことがわかる。この特別な年、2020年に「千住の1010人」をやるなんて、無謀な試みのように思える。でも、無謀ではない。オンラインを駆使して、様々な交流の実験をしてきた成果や新たな企て、それらが結集する企画こそが、「千住の1010人 in 2020年」だろう。10月31日にやりたいことがいっぱい。マネジメント的にどれが運営可能か実現可能か、その辺の精査していって、できる限り無理や負担がない形で、驚愕の祭りにしたい。ホセ・マセダの20のラジオ局のための「ウグナヤン」(1974)がヒントになる。マセダの曲では、もちろん、1台のラジオでは1局の放送しか聞けない。複数のラジオがあると、複数の局が同時に聞ける。では、我々も仮にYouTubeで20種類の別々の放送をしたらどうなるだろう?ある放送では、全員がギターを弾いている。別の放送では、全員がお茶碗を叩いている。別の放送では、全員がケロケロ歌っている。これを聞く人が、家の中で複数のパソコンやスマホで繋げば、複数の放送の音を、空間的に配置して、音の混ざり具合を自分で取捨選択してミックスして楽しむことができる。そんな風に考えると、ワクワクしてきて、色々やりたくなってくる。

 

ウグナヤンについて、3年前の日記にも書いたので、こちらも参照ください。

 

ホセ・マセダ生誕100年記念のシンポジウム2日目 - 野村誠の作曲日記