野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

民族音楽学科の作曲の試験

明日のイベントに向けて、iCANにてウーキルとリハーサル。明日は、最初にLapindoの事故のあった場所でのパフォーマンスの映像を上映するとのこと。その後に、ぼくがプレゼンをし、その後、作品を演奏しながら、観客とディスカッションを重ねる。明日の観客とのディスカッションに向けて、新しい曲を2曲つくる。ウーキルが、なぜか「水戸黄門」のようなリズムで演奏し、「これって、日本の太鼓のリズム?」と聞いてくる。明日は、観客にタイトルをつけてもらうところから、始めたらどうか、と提案する。

夜、ジョグジャの芸大の民族音楽学科の作曲の授業の試験を見に行く。試験と言いながら、女装のおかまと女の子による2人の愉快な司会によって進行される。全部で7曲で、それぞれが、ガムランカリマンタンの民族楽器や様々な太鼓やヴァイオリンやチェロや、特にはキーボードやベースを加えた10人程度のアンサンブル。だいたい1曲が15分程度。全部の曲でやる楽器が全く違い、1曲ごとにドラムセットを出したり引っ込めたり、ガムランの楽器を出したり引っ込めたり、さらには、舞台に平台で段を組んだり撤去したり、アンプを出したり引っ込めたり、さらには、一曲ごとに、マイクをセッティングするので、一曲やるごとに、楽器の搬入/搬出に20分近くかかり、その間、個性的な司会者で場をつなぐ。19時に開始した試験が終了したのは、23時なので、4時間かかったことになる。これで、やっと1学年分なので、明日も別の学年の作曲の試験があるらしい。

それにしても、ここの芸大は、西洋音楽学科に作曲の授業があり、西洋楽器のための作曲を教えている。しかし、民族音楽学科にも作曲の授業があり、民族楽器を混ぜ合わせた作曲を教えている。さらには、伝統音楽学科に作曲の授業があり、そこではジャワ・ガムランの作曲を教えている。さらには舞踊学科にまで作曲の授業があり、舞踊のための作曲をダンサー/コレオグラファー自身が作る。日本で言えば、邦楽器を学ぶ人々が全員作曲し、さらには、様々な民族音楽を学ぶ人々が、民族楽器のために作曲し、さらには、ダンスを学ぶ人がダンスのために作曲する、という状況。