野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

新世代のガムラン作曲家たち

これまで、中部ジャワのジョグジャカルタで過ごして来ましたが、いよいよ今晩より、東ジャワに遠征です。最低限の着替え、楽器など、荷作りをすませてから、タマンブダヤ(文化会館)のコンサートホールにコ行く。ウェリーの新作を含む、ジャワ・ガムランの伝統系の若手作曲家による5作品一挙上演。これが、かなり勢いのある新作たちだった。なんか、伝統音楽の分野も、いい意味で吹っ切れていて、やたら自由で勢いがあって、なんでもありで力強い。伝統音楽の範囲内での組み替えによる新作ではなく、バリガムランの模倣であろうと、ラテン風であろうと、どんどんガムランに入って来る。歌は伝統音楽の見事な発声なのに、途中でハモったりもするし、ウェリーの最後の方では、「踊れ!ベートーヴェン」を想起させる7拍子も出てくる。ガムラン作曲の大御所のスパンガ特有のペロッグとスレンドロを混ぜ合わせる手法も、もはや古典になっている。西洋楽器を混在させるのもあり、クンダンやりながら、途中で指揮だってする。こうしたハイブリッドなガムランが、嫌味でもなく、中途半端で未消化でもなくできるのが、今の20代のガムラン・コンポーザーの感性。そのことを再確認。コンサートは3作品まで聞いて、電車の時間なので、駅に移動。夜22:15の定刻出発で、明朝5時半にマランに着く。電車の中で、ウーキルと話ながら、また一段と親しくなれた気がする。まだ知り合って3週間なのに、いい友達ができた。