野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

3)台本

子どもたち全員に、演劇の手法に触れる機会を持って欲しいと思ったので、自分が書いてきた楽譜は取り下げて、台本をやった。これは、昨日の本番のビデオを柏木くんが台本として書いてきたもの。3年生〜中一までいる中で、柏木くんは漢字で書いてきたので、ほとんど読めない台本なのだが、それでも、3年生たちが、この台本をどんどん深めてやっていくし、思った以上にできるので、驚いた。しかも、昨日のパフォーマンスからは大きく逸脱して、新しい作品として成立している。柏木くんが朗読するのに合わせて動くのも、山下残の作品みたいでありかな、とも思うし、言葉でのガイドなしに、この台本が覚えられるとも思わなかったけど、でも、うろ覚えでも、そこを即興力でカバーできるだろう、と子どもたちを信頼して、チャレンジしてもらう。どうせ一日で作った作品で、練習時間も不十分なので、どうせ不完全な状態でプレゼンするならば、チャレンジしてもらった方がいい。ということで、チャレンジしてもらいました。

リミックスは、いろいろ可能性を感じました。創造というのは、こういうことなのです。前回やったパフォーマンスを言葉に直して、その通りにやってみるだけで、新しい作品になる。前回やったパフォーマンスの映像をコラージュして、その通りに動いてみるだけで、新しいダンスになる。組み合わせが変わるだけで、新しい風景が生まれる。子どもたちもそうです。周りの人間関係とかでも、振舞が変わる。リーダーをやる子が休むと、他の子がリーダーシップをとったりする。

みんなお疲れさま。今回も、いろいろ楽しませていただき、ぼくのやりたいことに、子どももスタッフも付き合ってくれて、本当にいい経験をさせていただきました。ありがとうです。

ちなみに、最近、こうしたリミックスの発想を思いついたきっかけでもある「報告譜」と「ポスト・ワークショップ」について、原稿を書きました。近々、晶文社のホームページにアップされます。アップロードされたら、このブログで紹介しますね。