野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

いいカモ、鍵ハモ@水戸芸術館

水戸芸術館に来ました。アシスタントには、即興からめーる団の赤羽美希さん(=ザウルス)、正木恵子さん(=まさき)、と二人の友人の渡辺達弘くん(=ボブ)。この3人とは、11月16日に鍵ハモのコンサートをします。それに向けても、アシスタントに来てもらいました。

ホール側の要望では、ワークショップは1種類やればよかったのですが、こちらの希望で、わざわざ2つの別の講座を開講しました。

13:00−15:00 鍵ハモビッグバンド(直感音楽チーム)
15:30−17:30 鍵ハモ交響楽団(本格音楽チーム)

です。要するに、前半は5線の楽譜を使わない前提。後半は、5線を使って音楽がやりたい人向け。

鍵ハモビッグバンドでは、まず野村誠の鍵ハモソロを聴いてもらった後、ザウルス、まさき、ボブのトリオで、ザウルス作曲「IWKKN」と鶴見幸代作曲「おほほ」を演奏。「IWKKN」は変拍子のミニマルミュージックで、演奏が難しい曲ですが、3人は息が合っていて、よかったです。客席がほとんど空席のコンサートホールでは、残響が多すぎて、リズムがややぼけて、響きが主体になるので、もう少し響きの少ないところで聴きたい感じ。

その後、全員でまずは音を出してみる。なんとなくロングトーン。これがきれい。全員白鍵でロングトーン、これもきれい。全員、黒鍵でロングトーン、これもきれい。白と黒を合図で切り替わる遊びに。「震源地」というゲームを、子どもが提案したので、これをやってみた。これ、震源地をあてるのは難しい。難しいので、白鍵では、スタッカートでビートを、黒鍵では、ロングトーンで演奏することに。こうすることで、少し、変化がわかりやすくなった。そしたら、白鍵のビートをやっているうちに、「トッテッ、トッテッ、トレトレトッ」というリズムをやっている子がいた。そこで、このリズムを採用して、全員でやってみる。全員でやって、一人がやって、と交互にやってみた。これがなかなかいい。全員でやって、二人でやってみる、というのもやってみた。これは、もう一段むずかしい。

その後、3グループに分かれて活動。
ボブチームは、「おべんとう、まだか、はらへった」というリズムの曲。この言葉を全員で言うと合うのに、これを楽器でやると、バラバラになりそうで、複雑なポリリズムになるところが面白い。
ザウルスチームは、かなり渋い曲。「パス、パス、パス、パス、いろいろいろいろ、どーもないー」と演奏しているらしい。
まさきチームは、猫が鍵盤の上を歩いて行って、転んで、踏まれて、怒って、というようなストーリーがあって、それを鍵盤上の演奏で実現した。

明日ですが、せっかくなので、短いアイディアをいっぱい出していきたい。それと、カールから送られてきたビジュアルも使おうと思っています。

続いて、鍵ハモ交響楽団
最初は、ぼくの鍵ハモソロを聴いてもらい、まさき、ボブ、ザウルスのトリオで、田中吉史作曲「うろおぼえの旋律とコラール」と近藤浩平作曲「鍵盤ハーモニカ3重奏のための小品集」を演奏。
それから、いろいろな奏法の紹介。全員で、鍵盤をカタカタたたきながら、息を入れたり入れなかったりするのをやって、これを指揮してみる。なかなかいい。
その後、半音階の12音から、一音ずつ減らしていって、6つ音を抜いて、音階を作った。すると、ド、レ、レ#、ファ、ソ、ラ#という6音に。あ、これって、ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭シで、予想外に普通の音階になる。
で、このモードを使って、メロディーを作曲。一人一音ずつ言ってもらっていって、2小節のメロディーを作り、その後、3グループに分かれて、それぞれ2小節ずつメロディーを作って、計8小節のメロディーを作った。これが、かなりいいメロディー。カノンでやってもいいし、コードをつけてみても、なかなかいい。

ということで、明日も、この続きをやります。
この音階から省かれた6音だけを使うと、別の音階になる(#ド、ミ、#ファ、#ソ、ラ、シ)。こっちの音階も、ほぼ同じ響きなので、転調も面白そう。この二つの音階を行き来するアドリブもできそうだ。

時差ぼけで大変でしたが、睡魔の中、なんとか22時すぎまで起きていて、熟睡。これで、時差ぼけ解消できたかな。
明日は、体調ばっちりのはずです。