川口淳一さんの新刊を読み終えました。もし、川口さんのことを知らずに、この本とタイトルだけみたら、多分、ぼくはこの本を読まなかったでしょう。でも、人間に興味のある人には、ぜひ読んで欲しい本です。
作業療法士として、高齢者と一緒に仕事をしている川口さんが、いろいろうまくいかないわけです。ご飯を食べてくれないお年寄りがいたり、言葉を発しない人がいたり。そこで、ま、そういうものでしょ、と諦めちゃうものなのですが、そこに、やたらにねちっこい川口さんがいて、なんとかご飯を食べて欲しいな、とか、家族と会話ができたらいいのに、とか熱望するわけです。そして、無理矢理食べさせたり、発語訓練とかやっても、全然やる気になってもらえるはずがないことを、川口さんは知っているので、何か工夫をしたり、考えたりするのですね。それから、いろいろ悩んだりもするわけです。そして、工夫したことが、時にうまくいきかけたり、ちょっとだけ光が見えたり、見えなかったりするのです。喜びと落胆と希望と勇気と可能性と限界が、ちゃんと書かれている本です。
- 作者: 川口淳一
- 出版社/メーカー: 青海社
- 発売日: 2006/12/15
- メディア: 単行本
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