野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

メロディーホースの新奏法

今日は、サントリーミュージアムで、子ども向け音楽ワークショップをやりました。林加奈ちゃんと一緒です。

今日のぼくのプランは、いっぱい楽器を持って行くことでした。NHK教育テレビの「あいのて」で、ぼくの音楽のある側面を見たことがある子どもも参加することが想定されていました。そういった人たちは、既に日用品で音を楽しむ世界を、テレビを通して体験しています。だから、今日は、数々の楽器を持って行きました。トランペット、フルート、リコーダー、数々のパーカッション、鉄琴、メロディーホース、などなど・・・・・。

で、それ以上の決め事はなく、子どもたちとのやりとりから、ワークショップを進めることにしました。そしたら、次のようなプロセスで、新奏法が発明できました。

最初、ぼくと加奈ちゃんで演奏をしたら、途中で鍵盤ハーモニカのホースをテーブルに落とす奏法が面白くなってきました。それに触発された加奈ちゃんが、鍵盤ハーモニカのホースでテーブルをゴシゴシとギロのように擦りました。そこから発展して、メロディーホースで、テーブルをゴシゴシ擦りました。

でも、せっかくなので、メロディーホース自体も紹介しようと思い、振り回すとこんな音がするよ、と紹介しました。

で、やってみたい子どもを募って、ホースを振り回してもらったのです。すると、その子どもがちょっと部屋の片隅で振り回したので、ホースが椅子に当たりました。

ここで、もう少し、こっちに行った方がいいよ、とホースが振り回せる場所を確保したのと同時に、ぼくは、偶然ホースが椅子に当たった出来事を面白いと感じました。そこで、ホースを振り回している人に、太鼓を持って近づいていく、という試みをしたところ、これが、新奏法の発見になったのです。左右両側から太鼓を持って近づくと、ホース自体の響きと同時に、ホースが太鼓に当たる音もします。リズム的にも視覚的にも音的にも、かなり面白いのです。これは、今日の大収穫です。

その後、ワークショップは、楽器のセッションとして展開し、パーカッションのお互い叩き合いの面白い奏法も生まれました。他人の楽器にちょっかい出して叩いていくうちに、お互いの楽器も距離も近づき、最後には、みんなで密集して、自分の太鼓と相手の太鼓の境界線もなく10人くらいが入り乱れるのです。これは、打楽器版のコンタクトインプロだな、と思いました。

ワークショップが終わった後も、残って楽器を楽しむ子どももいて、本当に楽しかったです。90分の単発ワークショップとしては、本当に実りが多かったと思います。