野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

東日本大震災から13年/般若心経聴き比べ

3月11日。2011年から13年が経つ。あれだけ大きな原発事故が起こったのに、原発はなくなっていない。東日本大震災以降、東日本の原発が稼働しない中、西日本の原発が再稼働してきている。佐賀の玄海原発(糸島と目の鼻の先)や鹿児島の川内原発が再稼働している。老朽化しているものを期間延長で使ったりしている。原発に関しては、放射性廃棄物を数万年に渡って安全に管理するための画期的な方法が開発されて、真に実用化されない限り、原発を使うべきではないと思う。

 

あの震災が起きた時に、インドネシアにいた。原発事故を知った時点で、二度と日本の地を踏めないことを覚悟した。祖国を失い散り散りになったユダヤ人の気持ちを、少しだけ自分ごととして理解できた。異国で盆踊りを踊ったり、その地で手に入る食材で和食を作ることについて考えた。今、こうして日本に戻って暮らせていることを奇跡のように思う。その奇跡に感謝するだけでなく、この奇跡を精一杯生きたいと思う。

 

そんなことを思いながら、確定申告の準備で、領収書の整理と記帳を頑張り、確定申告まであと一歩まできた。しかし、ずっと事務作業はつらいので、琵琶でウクレレのように3コードを弾いて遊んだり、ピアノを弾いたり、読書をしたり、音楽を聴いたり、家事をしたりする。日常。

 

ふと、韓国の仏教音楽に関して検索していると、般若心経を聴き比べる動画に出会う。この動画がどれだけオーセンティックなものなのかについては深く考えずに、単純に比較してみよう。

 

インドの般若心経の動画は、3つのピッチがあるメロディーで、リズムもかなり不規則で、長く伸ばす音がある。

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チベットの般若心経には、3つのピッチによる歌になっているように聞こえる。リズムは、完全に均等ではないけれども、極端に長い音はない。声で刻むような低音パートがあって、日本だと木魚のパートにあたりそうに思った。

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韓国の般若心経というのは、やはり3つのピッチがある。リズムは、木魚でキープして、声もずっと8分音符で刻む。

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日本の般若心経になると、ピッチは3つありそうなのだが、ほとんど一つのピッチで歌うシンプルなものになり、その代わり、微細なポルタメントが強調される。リズムも韓国を8分音符とすると、こちらは4分音符になる。

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とても面白いと思う。能の高砂を参照しながら作曲した《初代高砂浦五郎》で書いたメロディーと、インドの般若心経は少し似ている。もっともっと勉強したい。

 

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