野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

カラスに要注意

朝、カラスがベランダで育てていたトマトのプランターを襲撃してきて、今日にでも収穫しようと思っていた真っ赤なトマトの実がなくなっていたことに衝撃を受ける。ゴミ回収の袋を襲撃しているのを目撃したこともあるが、トマトがやられるとは。しかも、緑色の実は無傷だった。食べ頃の美味しいものだけを食べていったようで、美食だ。

 

気を取り直して、朝から作曲作業。「初代高砂浦五郎高砂浦五郎を賜るの段」の作曲作業。90%くらい完成で、おそらく上演時間25分程度と想定される。昨日書いた6曲目の「高砂襲名」は、能の「高砂」の謡を元に歌のパートを書いて、大鼓と小鼓のパートをもとに三味線のパートを書いたのだが、この三味線のパートを相撲の太鼓のリズムにちょっと書き直していって、能と相撲がつながるような感じに書き直していく。そうやって書き直していくうちに、能の謡の歌詞を少しずつ変形させていくと、相撲についての歌詞に変わっていく。一番は世阿弥の歌詞で歌い、二番は相撲に関する歌詞にして、その後、言葉がとけていくような感じにする。

 

本日の「四股1000」で、箏曲「六段」とグレゴリオ聖歌クレドに関する皆川達夫さんの説の話になったり、伊藤比呂美さんが現代語訳した「般若心経」に藤枝守さんが作曲した話になったり、相変わらず、日によって四股から思いもよらぬ世界に誘われる。

 

90%完成している「初代高砂浦五郎」の譜面をプリントアウトして、三味線パートをピアノで弾きながら、地歌の部分を自分で歌って、全編通して演奏し、里村さんに聞いてもらう。実際に通して上演することで、ナレーションの文章を少し手直ししたくなったり、曲の細部を変更したくなったりもする。そして、里村さんから色々指摘を受けて、疑問点が明確になる。どうして、お抱え力士がお抱えを解かれたのか。どうして、お抱えを鞍替えすることに憤るのか。姫路藩の事情。高見山と増位山や相生との温度差の理由など。これらの疑問点をまとめて、一ノ矢さんにメールで質問する。ほどなく、一ノ矢さんから返信が来て、疑問点が少しずつ解消していく。

 

夜、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)のオンライン飲み会/打ち合わせ。秋の城崎のレジデンスについて、「四股1000」の7月以降について、などの議題を話した後は、我々の得意な自由な妄想タイムに突入し、いつもながらゲラゲラ笑い、幸せな心地になる。そして、残りの人生でどこまで達成できるのかわからないほど、たくさんのアイディアが湧き出てくる。そういえば、2003年にアサヒビール芸術賞を受賞した時、授賞式で言った。やりたいことが100あるとしたら、そのうちの3つか4つしか実現できていないので、少しでもチャンスがあれば、一つでも多くやりたいことを実現したい。でも、実現すると、さらにやりたいことが次々に湧き出てくるので、ますます、やりたいことが追いついていかない、と。

 

今でも、そんなにやりたいこと、いっぱいあるんだっけ。そして、そのほとんどが実現できていないんだっけ。多分、そうだ。とりあえず、思いつくままに列記してみるか。

 

1)鍵盤ハーモニカのための協奏曲、書きたい。オーケストラと仕事しているけれども、鍵盤ハーモニカとオーケストラのコンチェルトは、誰も書いていないと思うし、書きたい。

2)楽器としての家をつくる

3)作曲・家という家をつくる

4)平等院の雲中供養菩薩の音楽を創造する

5)上野泰永さんが特許をとっている「未来のピアノ」を実際につくって、演奏してみる

6)ロンドンで会ったAndrew Mcphersonのマグネティックレゾネーターピアノのための作品づくり

7)楽器としての土俵創作

8)コンサートとしての野球の試合

9)オランウータンと作曲する

10)絶滅間近な日本各地のガールスカウトの歌を収集する

11)子ども出る杭サミットを開催

12)  瓦の創作楽器づくり

13)  鳴き砂の調査と四股

14)  日本各地の相撲神事リサーチと創作

15)  ピアノ山車をつくり、移動する音楽

16) ちり紙交換とのコラボでの音の作品

17)  コカコーラのペットボトルの楽器開発

18)  ヒュー・ナンキヴェルと一緒に本をつくる

19)  犬のためのコンサート 

20)  花火の音によるコンサート

21)   イギリスの教会の鐘による音楽会

22)  複数のお寺の鐘と楽器によるコンサート

 

 

まだ、いろいろあると思うけど、試しに書いてみた。こういうのは、忘れているから、書き出すと頭の体操になっていいなぁ。また、時々やろう。