野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

踏歌神事/はじまりはマルチニーク

熱田神宮に、踏歌神事に立ち合う。約1時間の神事。10時からの本宮、13時からの別宮と2回とも見学した。

 

笛1人、歌が5人、舞が4人。衣装を整える人一人、祝詞をあげる人1人、振鼓(おべろべろ)1人、神主のような方が3人。全員、木靴を履いていて、砂利の上を歩く音が印象的だった。また、儀式と並行して、初詣参拝者の柏手の音、木々の上で鳴く鳥の声などが聞こえてくるのも印象的。2020年に作曲した《世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ》は熱田神宮の踏歌神事を参照しているが、同じ構造で進んでいく。

 

1 万春楽

2 竹川半首(卯杖の舞)

3 浅縹(扇の舞)

4 オベロベロ

5 何そもそも

 

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5つの演目は、演じる場所も空間的に変化するので、そうした配置なども確認できてよかった。オベロベロのお面を装着するところは、撮影禁止だった。お面をつけた儀式自体は撮影可能なので、不思議。

 

午後の別宮でもう一度見て、同じ演目を全然違う空間で演じるのを見て、より理解が深まった。それにしても、踏歌と言うのに、ほとんど足を踏まない。きっと昔は、もっと足を踏んでいたに違いない。四股や相撲と踏歌神事から学んだことを統合した自分なりの踏歌を生み出してみたいと思う。

 

夕方は、大阪音大へ。豊中市と日本センチュリー交響楽団大阪音大で行う市民参加型の「世界のしょうない音楽ワークショップ」。2月3日の「世界のしょうない音楽祭」に向けて大詰め。17時から渡邉未帆先生のファシリテーションで第1部のマルチニークのリズムを体験するステージ。18時半からは、第2部の世界のしょうないワークショップオーケストラで、野村誠作曲の《はじまりはマルチニーク》を初めて音に出す。

 

完全に初心者の人たちがヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバシタールガムラン、尺八、打楽器で、12分半の大作を演奏して、単なる発表会ではない新作初演になるという奇跡のようなプロジェクトに毎年取り組んでいる。譜面が読めなくても、楽器が弾けなくてもできる、と言っていて、12分半の作曲された曲を演奏させるのだから、詐欺のようだが、実は譜面が読めなくても楽器ができなくても、できるように作曲していて、みなさんが90分集中的に練習していただき、最後には通して演奏することができた!ブラヴィッシモ!!!!世界初演は、2月3日@大阪音楽大学ミレニアムホール(14:30開演)。

 

2023世界のしょうない音楽祭・ワークショップ 豊中市