野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

豊永亮さんとのデュオ

ギタリストの豊永亮さんとスタジオで創作。豊永さんとは、1990-94年にpou-fouで一緒に活動した。pou-fouは最初は即興演奏をするバンドだったが、リハーサルを続けていく中で、徐々に共同作曲になっていった。豊永さんは、ロンドンの伝説のアバンギャルドロックバンドthis heatを敬愛されていて、ぼくもthis heatのアルバムを聴き、実際に豊永さんの紹介でthis heatのメンバーに会ったり、一緒に音楽をしたりもした。

 

pou-fouは、1991年にSony Music EntertainmentのNew Artist Auditionでグランプリとなり、1992年Epic SonyからアルバムBird Chaseをリリースした。このアルバムでは、本来のpou-fouのバランスではなく(レコード会社はアコースティックやクラシックのイメージを持たせようとしたのだろう)、ヴァイオリンの音が非常に大きく、ギターの音が非常に小さくミックスされ、豊永さんの独特のギターサウンドが目立たない不本意なものとなった。

 

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本来のpou-fouの音ではないアルバムだけが出ていて、それが不本意なので、ずっと気になっていて、昨年、豊永さんに連絡した。pou-fouの曲を二人で演奏してライブしてみたりしないかと提案すると、豊永さんから、それもいいが、今、新しい曲を作ってみたいと返事があり、それもそうだ、ということで、二人で新しい音楽を作り始めた。

 

豊永さんは、30年経っても、妥協もなく音を出される態度は一貫していて、好みも美意識もはっきり自分のものを持っておられる。今日も3時間、みっちり音を出したり話したりして、手応えを得た。テクノでもないし、民族音楽でもないし、調性はないが無調でもない独特な形容し難い音楽。30年前にpou-fouで目指していたことのその先にあるぼくらの音楽が生み出せる手応えを得た。貴重な時間。

 

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豊永さんと話す時に、Henry Cowというバンドの話をすることが多いが、今日はHenry Cowellのことを話した。

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pou-fouを始めた時、Fred FrithとTom CoraのデュオSkeleton Crewにも影響を受けていた。こうした音楽を聴き返してみると、今聴いても、やっぱり自由で良いと感じるなぁ。

 

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