野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

展示作業が佳境の横須賀美術館にて

横須賀美術館へ。人生で初めて、横須賀に来た(ような気がする)。横須賀美術館に近づくにつれて、海が広がる風景になり、美術館の真ん前に芝生広場があって、その先が海。すごい景色だ。荒井良二さんの展覧会『new born いつもしらないところへたびするきぶんだった』の準備のために来たが、まさに「知らないところに旅する気分」である。

 

主催の朝日新聞社の金井久美子さんに連れられて展示室に入っていくと、そこは荒井ワールド。山形から強力な助っ人たちが集まり、着々と展示が進んでいる。第3展示室の新作オブジェたち、素晴らしい。野村作曲の《逃げる子ども》を荒井さんが気に入ってくれて、ここでも音源を流すことに。

 

第2展示室にいくと、ぼくの音源が会場のあちこちに配置されたスピーカーから流れている。既にいい感じであるが、予想以上に中低音が響きすぎるし、予想以上に高音域が聞こえてこない。空調でマスキングされる音もある。とりあえず、この会場の持つ音の特性をつかむために、会場内で音源をかけながら聴いて分析。どうやら、250Hzあたりが響き過ぎるし、600〜700Hzあたりも響き過ぎる。150Hzあたりは、思ったほど聞こえてこない。2kHzあたりの高音域の響きが、空調で掻き消されるのか弱まってしまう。という感じが、理解できて、7曲の音源を、横須賀美術館用のmixに修正する。これで鳴らしてみると、ようやく音像がくっきりしてきた。よしよし。

 

スピーカーも、色々な位置で聞いてみた。展示室が広いので、広い空間に音を解き放つ感じにすると、響き過ぎて、ぼやけてしまう。部屋のコーナーとか、絵の背後とか、狭い空間を見つけて、その範囲で響かせるような鳴らし方が効果的。金井さん、美術館の中村貴絵さんと確認しながら、スピーカーの位置を確認して、それぞれのスピーカーでどの楽曲を流すかを決めていく。展示室を移動していくことで、楽曲が変わっていき、それ自体が旅をしているような感じになりそう。よし、方向性は決まったので、明日、いろいろ調整して、ボリュームとかも確定させて、展示を完成させたい。

 

荒井さんと設営チームと中華屋で語り合いながら、ワクワクする楽しい時間。

 

arairyoji-nb.exhibit.jp