野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Jo Aichinger訃報/《たいようオルガン》の初稿があがる/4度目の正直

オーストリアのクレムスで実験的な音楽祭やレジデンスを企画していたキュレーターのJo Aichingerの訃報。2007年と2009年に、彼のフェスティバルに招聘してもらった。サイクリングが好きで、1日100キロなど平気で走るジョーが、演奏会の後に自転車を借りてくれて、ドナウ川沿いに片道30キロ走って、心地よい景色や葡萄畑などを2時間以上走った後で打ち上げをしたのは、忘れられない思い出だ。打ち上げの後に、また2時間以上、もと来た道を自転車で引き返す。クレイジーな人だった。また、いつか一緒に仕事をしたいと思っていたのに、叶わず非常に残念。合掌。ジョーの企画で行なった2007年のコンサートとワークショップの貴重な記録映像を見る。少しだけジョーが息子と一緒にバリガムランを演奏している場面が映っている。ご冥福をお祈りしたい。合掌。

 

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 荒井良二さんの絵本『たいようオルガン』のためのオルガン+歌(ソプラノ)の新曲《たいようオルガン》をとりあえず、今日、14曲目の「つきオルガン夜想曲」を書き終えて、絵本の最後のページまで書き終えた。現時点で449小節、22分強の作品になった。1週間後には水戸芸術館に行って、実際にオルガンを触り、オルガニストの石丸由佳さんからオルガンについて教えていただいた上で、ブラッシュアップして完成にするつもりだが、とりあえず、初稿ができあがった。絵本に作曲するのは、本当に特別な体験で、こんなに一冊の絵本を毎日見続けたことは人生初だ。作曲していると、どんどん色々なアイディアが湧き出てくるが、次のページをめくると、ぼくの音楽とページが合致しないので、出てくるアイディアを山ほどボツにして、作り直す作業が続いた。20分の曲を作曲するのに、おそらく200分くらいの曲を作曲して、その1割だけを採用した感じだ。

 

1    あさがきた前奏曲

2   ゾウバストッカータ

3   賛美歌くさはえてる

4   はたけある音頭

5   DJくもりのくも

6   ビルいっぱい音列

7   あめドラム

8   あめやんで間奏曲

9   ゾウバス追走曲

10  民謡うみのにおい

11   おちゃいただきララバイ

12   すないっぱいパレード

13   ゆうやけカーニバル

14  つきオルガン夜想曲

 

2020年春に豊橋、豊川、岡崎で開催する予定のJane Bentleyと吉野さつきとの「自転車ミュージック・プロジェクト」は、コロナで延期になり、2020年夏に仕切り直し、それも2度目の延期になり、2021年春に仕切り直し、これも3度目の延期になり、オンラインのイベントを少しだけ開催し、2021年夏に仕切り直したが、イギリスからの渡航許可が出ないので、4度目の延期をして、2022年春の開催となる。本日は、2022年春の日程や内容などの確認をした。3度目の正直という言葉があるが、4度目の延期である。さすがに来年の4月には、事態が変わって実現できるのではと期待している。それにしても、海外の人とリモートで話すのが本当に普通になったなぁ。