野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

香港の講座/どすこい!シュトックハウゼン

香港のCCCDが、4月に野村誠の講座をオンラインで企画してくれている。講座の告知文を考えてくれていて、「だじゃれ音楽」が面白いから、音楽と言葉の講座にしないか、と言ってきたが、広東語がほとんどできないし、ぼくも受講者も英語がネイティブじゃないのであれば、言葉を主軸にしない方がいい。それで、音楽と動きの講座にしてもらうことにした。これだと、相撲の動きもできるし、四股と音楽の関連もできれば、いろんな動きで指揮者が動きながら即興演奏もできる。ワクワク。コロナで海外と閉ざされてしまうと、香港のように小さな領土で常に海外と人の行き来が前提になっていた場所は大変だと思う。

 

5月19日に低音デュオによって世界初演になる予定の新曲は、4月に作曲する予定なのだが、告知のためにタイトルだけ先に必要ということで、今日はタイトルを考えていたが、なかなか苦戦。タイトルを思いつくために、少し曲のイメージで歌ってみたり、楽器を奏でてみたりするが、なかなか手がかりが得られずにいた。相撲甚句についての新曲を書くつもりなので、「トコ、ドスコイ」という掛け声をタイトルに入れようかと考える。この新曲を委嘱してくれた歌手の松平敬さんは、「シュトックハウゼンのすべて」という本を書いている。シュトックハウゼンは相撲についてレクチャーしている。そうか、シュトックハウゼンの相撲について作曲すればいいんだ。ということで、新作のタイトルは、《どすこい!シュトックハウゼン》となった。

 

ところで、急に話が飛ぶが、芸術監督という日本語どうなのかなぁ、と思う。artistic directorの日本語訳を、もうちょっといい言葉なかったのかなぁ?監督って、なんか偉そうだし、監視してるみたいなイメージするしなぁ。誰か考えて欲しい。

 

いつものように朝は四股を踏み、「野の古典」を読み、ピアノを弾き、料理をし、事務作業をし、買い物をし、荷物を発送し、郵便物を確認し、読書をし、音楽を聴き、相撲を観戦し、と過ごした。相撲を見ながら、シュトックハウゼンを聞いたりするのも楽しい。Gautier de Coincy (1177–1236) というフランスの修道士が当時の歌を編纂して、おそらくネウマ譜で記譜したので、800年経った現代から当時の音楽にアクセスできるのだが、ネウマ譜の再現性ってどれくらいあるのかなぁ。逆に言うと、一つのネウマ譜は、どれだけの多様な音楽になり得るのかなぁ、と800年前の音楽を聴きながら思った。

 

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