野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

企画書/レコーディング/リモート実験/安楽死と呼ぶ前に

今年、滋賀でディレクターをするプロジェクトがあって、その企画書を昨日からずっと書いていて、何にも決まってないけど、どんどん具体的に書いていったら、だんだん楽しくなった。企画書を書くって、何もない無から有を立ち上げる作業だから、作曲みたいなもので、妄想してニヤニヤしていく。企画書をもとに企画を練り直すのが推敲/校正だとして、その企画を実際に実現させるのが演奏とか上演みたいなもの。作曲も企画書も、実現可能かどうか考えずに、とりあえず書くことはできる。で、書いてみて、やっぱり弾けないよな、って書き直すように、企画書も書き直す。そうやって、妄想を書きまくった後に、どうやって実現可能な形に落とし込むのかを考えるのも面白い。

 

Nick LuscombeのレーベルMusicityのために先月何曲かピアノを録音したのだけれども、今日、追加でもう一曲録音した。どれも北海道の芽武での滞在に基づく楽曲。弾きながら北海道のことを思い出す。最近は、アイスという文字を見て、アイヌと思うくらいになった。

 

イギリスのPete Moserから誘われて、月に1回のzoomの集いに参加。イギリス、ドイツ、オーストリア、香港から参加している人たちで、音楽のワークショップをオンラインでどうやるかについてシェアする会のようだった。そこで話し合っているうちに、「secret conductor」というチャットで一人一人に指示を出す指揮の仕方の話になった。何かやってみたいことあるか、と聞かれたので、北海道の芽武の冊子に載せた図形楽譜を画面共有で見せて、みんなに演奏してもらった。作曲したけど、どんな音楽になるのか想像もつかなかったので、やってみて面白かった。

 

そうしたら、写真を画面共有して、それにみんなで書き込んで楽譜にすることができるのでは、という話になり、zoomってそんなことができるのだ、とやってみた。子どもとリモートで音楽をやっている人々が、ホワイトボードなどzoomの機能の活用の仕方を日々探求していて、こうしてアイディア出し合って実験する場に参加できて面白い。

 

それにしても、今まで海外の人々とは、旅先で濃密にコラボしていたけれど、今は、こうして頻繁に会えるようになったし、今日もほとんどの人が初対面の人で、こうした交流がこれから増えていくのかなぁ。面白いことになってるなぁ。来月も参加しよう。

 

京都新聞の記者の岡本さんから記事のリンクのお知らせがあり、早速読む。最後に語られる「人間の尊厳」という一般化された概念で考えるのではなく、「その人にとっての尊厳」という話が印象的だった。価値観は一人ひとり違う。

 

【安楽死と呼ぶ前に】「私なら死ぬ」はヘイトスピーチ ネットに堆積する匿名の暴力 障害ある人の受け止めは(京都新聞) - Yahoo!ニュース