野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

世界だじゃれ音Line音楽祭day4

『世界だじゃれ音Line音楽祭』Day4を開催した。4人のゲストとセッションをした。ぼくは出演者でもあったのだが、4人の個性的なゲストを紹介する気持ちも強かった。それぞれのゲストの世界観を4つ続けて体験できて、とても面白かった。アーカイブは、こちらで視聴できるので、以下の野村の感想と合わせて視聴していただければ幸い。

 

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一つ目は、安野太郎とのセッション。事前の打ち合わせで、音響なども万全だったが、少々のテクニカルな事故が起こり得るけど、そうした事故も含めて見せていこう。失うものは何もないから、と話し合った。そしたら、冒頭のパフォーマンスで、安野くんの音が全然聞こえていないというトラブルが起こった。よりによって、このパフォーマンスは、部屋を移動しながら行う時空を超えるパフォーマンスだったので、お互いに相手の音を聞くことができない。だから、相手はきっとこういうことをしているだろう、と想像しながらのセッションだった。ぼくとしては、安野くんの音はエフェクトがかかったりして、どんどん重なり合っているだろうから、非常にシンプルでショボショボな音を出していたら、なんと、ぼくの音しか聞こえていなかったらしい。そのことが発覚して、最後に少しだけリベンジでセッションした。最後の最後に安野くんの音が聞こえてきた。逆に、ぼくは、声を出さずに声を出す仕草をしたり、ピアノを弾く動きをいっぱいするけれども、滅多に音を出さなかったりした。本当は音がしているのに音が聞こえないのか、実際に弾いていないのかは、画面の向こう側からは判断がつかない。それにしても、リハーサルの時にも音が出るのに本番で音が出なくなるとは、さすが安野太郎。ゾンビの悪戯だったのかもしれない。衣装は、香港のi-dArtのレジデンスの時にキッチンミュージックの衣装として作ってもらったペイントされた白衣。

 

二つ目は、宮田篤とのセッション。だじゃれ音楽をやろうと思いつくきっかけを与えてくれたのは、取手アートプロジェクト2006で出会った宮田くんや山中カメラなど、「あーだ・こーだ・けーだ」のメンバーたちだ。あのプロジェクトがなかったら、「千住の1010人」もやっていない。宮田くんが適度に「らくがっき」を忘れているのが面白く、つくった本人が正解が描けず、不思議な絵が生まれてくる。宮田画伯が次々に絵を描きながら話してくれる楽しい時間。衣装は、取手で浴衣を着た思い出から、相撲の浴衣の端切衣装。

 

三つ目は、ドイツのケルンからジモン・ルンメルとのセッション。ドイツは朝9時で、ピアノのすぐ横にベッドがあって、朝食前の出演。ジモンとは30分一本勝負で、ノンストップでピアノを弾いた。京都とケルンで演奏しているのに、まるで隣の部屋で弾いているかのよう。ジモンとは双子の兄弟のようだ。実際に会ったのは一度だけなのに。オンラインで2週間前に打ち合わせしたのが2度目。今日は3度目だけど、どうして、こんなに阿吽の呼吸なのだろう?音楽で追求していることが近いから、即興でも、相手がどう感じているのか、どんな演奏をしてくるのか、だいたい感覚でわかる。感性が全然違う人と演奏するのも面白いが、感性が近い人と演奏するのも面白い。それにしても、ジモン熱演だった。素晴らしいピアニストで即興演奏家だ。彼の創作楽器とかインスタレーションも面白いから、また紹介したい。衣装は、先日、メシアンのコンサートできたカラフルシャツ。

 

四つ目は、奥田扇久とのセッション。ひょうたん楽器が勢揃い。ジモンとの即興と奥田さんとの即興とでは、全然違うところが引き出される。ひょうたん楽器の音色が素晴らしい。いろいろな弦楽器が、それぞれ独特な音色がして、その楽器ならではの音楽がでてくる。障子紙をはった楽器もあった。コラみたいな楽器もあり、太棹三味線みたいなのもある。本当にいろいろ。あっという間の45分。もっとやりたかった。1009さん+1で1010人のセッション。そうした思いも込めて、2014年の「千住の1010人」の時に着てたシャツを衣装に。

 

ゲストの皆さん、事務局の皆さん、視聴者の皆さん、ありがとうございました。おつかれさまでした。