野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

思い出せ!/音楽の旨味

明日の「世界だじゃれ音Line音楽祭day4」に向けて準備中。宮田篤さんとの「らくがっき」を思い出すために、復習中。10年前のプロジェクト。歌を歌っても、全然フルートの絵にならないけど、なんとかフルートを描ける気になるところまできた。記憶力、悪いなー。

 

北海道で濃密なコラボレーションをさせていただいたアイヌ音楽研究者の千葉伸彦さんと野村がオンラインでトークする企画を、里村真理さんが企画してくれ、本日、それが実現。千葉さんと3時間強、じっくりお話させていただく。ギタリストである千葉さんが、ミュージシャンとしてアイヌ音楽に興味を抱いたところから、気がついたら、伝承が途絶えそうな様々な歌を伝授されている貴重な一人となり、また音楽家であるがゆえにマニアックに節回しのディテールに興味を持ち、そこに愛着を持つ。ぼくは、アイヌ音楽にもちろん興味はあるが、それ以上に千葉さんというフィルターを通してアイヌ音楽に出会うことに興味がある。千葉さんが旨味であると思うアイヌ音楽のエッセンスは、実はあらゆる音楽にとって旨味でありエッセンスであり、千葉さんが守ろうとしているアイヌ音楽のエッセンスは、実はアイヌ音楽だけでなく、世界中のあらゆる音楽が喪失しているように思う。その意味では、世界中のあらゆる音楽が絶滅の危機にあり、形骸化した音楽の骸骨や残骸だけが残っているのかもしれない。でも、そうした音楽の骸骨や残骸を起点に、なんとか音楽を生み出したい。そんな意識で、音楽活動をしてきたのかもしれない。とか、いろいろなことが、頭の中をぐるぐるする。お話できて本当によかった。千葉さんと一緒に生きた音楽をしたいと思う。