野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

コロナのデータの解析とケンハモオンラインの可能性

8月のweb版こどもアートサーカスのアニメ「みんなの冒険」が公開になった。この曲は、8月の『初代高砂浦五郎』を初演した直後に、北斎バンドへの新曲『Remote Tanabata 2020』を作曲した直後、収録の直前にエイヤーと作曲したものだ。すでに懐かしい夏の思い出の一つ。

 

www.youtube.com

 

Dayang Yraolaの誘いでのComposite by the Numberのための作曲に着手。新型コロナウイルスに関するデータや数値などを音楽に変換するというお題を与えられているので、新型コロナ関連のデータをネットで色々見る。1日あたりの感染者数などは、PCR検査をした数との関連もあり、3000件の検査がある中で300人であるのと、2万件検査する中で300人であるのでは、意味合いが違ってくるし、検査をして陽性が認められた人の数というのは、ピンとこない。それで、結局、新型コロナウイルスで死亡者数をとにかく、書き出してみようと思い、厚労省のデータを書き写すことにした。月の満ち欠けと関連づけてみようと思い、新月から次の新月までで一月として、その中での死亡者数の推移を書いていく。最初は、ほとんどゼロ。徐々に増えていき、突然91という数が出現。その後、二桁が続いたり、一桁になって、ゼロになったり、一桁になり、また二桁が出てきたりする。この数字を書きながら、亡くなられた方々のこと、その家族や友人のこと、関係した医療従事者のことを思うと、単なる数字でありながら、本当に悲しい気持ちになる。ぼくなりに、この数字を供養するような音楽を作りたいと思った。

 

土屋喜敬著『相撲』読了。相撲博物館学芸員が書いた相撲概説で、歴史的な背景や相撲をめぐる様々なものについても詳細に多角的に触れられている好著。オススメの本。

 

いつも「四股1000」のレポートを鶴見幸代が書いてくれているが、本日は、野村が担当。ピアニストの椅子の高さについて、ピアノを背中から弾くという話など、相撲と音楽に通じる身体の話がある。

 

9/18 四股1000 九月場所六日目 腰高、椅子低 – 日本相撲聞芸術作曲家協議会 / JACSHA

 

夜、だじゃ研のZOOM実験。本日は、ケンハモ。楽器の種類別に、ZOOMとの特性などを調べていく作業。鍵盤ハーモニカは、オーディオ設定で背景雑音の除去を無効化(または低)にしないと、吹いているうちに音が消えてしまう。それと、やたらに割れるような音になりやすいので、少しマイクから離して弱めに吹くくらいでちょうどいい。そうした設定をした上で、複数の鍵盤ハーモニカで和音を響き合わせることができるか、試してみた。とにかく、音量の調整が難しいので、各自がロングトーンでクレッシェンドしたりディミニュエンドしたりして、音量を変化させると、いろいろなケンハモの音の重なり合いが聞こえてきた。などなど、いろいろ試行錯誤して、ZOOMで成立すること、しないことを選別し、最終的には「ケンハモや 黒う白って 秋の虫」という新曲になった。おそらく、これは鍵盤ハーモニカ数十人でリモート合奏しても成立しそうで、11月あたりに公開オンラインイベントとして実現させたい。