野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

問題行動マガジン開設、念じるピアノ演奏

ついに、《問題行動マガジン》というウェブマガジンを開設(今のところ言語は日本語のみ)。発起人は、昨年結成されたピュアなおっさん3人組「問題行動トリオ」=佐久間新(ダンサー)+砂連尾理(ダンサー)+野村誠(ミュージシャン)、そして、問題行動にグングン介入する仕掛け人、里村真理(編集長)の4人。コンテンツは、

 

連載エッセイ:佐久間新「問題行動 悩みの相談室」
           「こまったレシピ」
       砂連尾理「ジャレオのおえかき」
       野村誠「ススメ!問題行動」
巻頭グラビア写真あり!
生活とパフォーマンスが直結する最新のZOOM Session動画(夜、昼、夕方の3本立て)公開!
充実のこれまでのアーカイブ

さらには、問題行動満載な佐久間徹さん(心理学者)へのインタビューも近日公開予定。

 

ご意見/ご感想、大歓迎。悩みの相談室のお悩みあれば、大募集。問題行動という切り口での発信の場、議論の場、交換の場が持てることは、非常に嬉しい。ウェブサイトは、こちら!

 

mdkdm.net

本日は、いつものごとく、四股を1000回踏んだ。そして、その後、ピアノコンサートをした。ネット配信もしないし、観客も招かないコンサートをした。実は今日、美術家の山本麻紀子さんが、とある所で巨人の歯と眠るパフォーマンスを行ったのだ。一般公開なしの秘密のパフォーマンスの情報を、偶々、ヒスロムの加藤至くんから聞いた。せっかくなので、彼女が眠るパフォーマンスに合わせて自宅でピアノを弾き、本人の承諾の上、勝手にピアノ演奏でコラボした。

 

今、オンラインで音楽の配信などがたくさんある。ところが、今日の演奏は、インターネットで通信するのではない。山本麻紀子の夢に直接音楽でアクセスする。まずは、自宅の空間を清めるべく、ピアノの周りを掃除し、夢にアクセスするために部屋の照明を消した。部屋の空気が浄化されていく。しかし、どうやってぼくは、ここにいながらトリップすることができるのか?昼の13時、目をつぶりピアノで即興演奏を開始した。目をつぶり、意識がなくなるまで演奏を続けた。最初は、夢の世界のことを思いながらピアノを弾き、様々な邪念が心の中を行き交う。インターネット配信ではない。マイクで感知する音を出すのではない。別世界に音を飛ばす、念じるような音楽をできるのか、ぼくは向き合うことになった。一度でも目を開けてしまったら、全てがだいなしになりそうな夢と現実の境界線を越えるべく、目をつぶったまま、ずっとずっと弾き続ける。どれだけ時間が経ったかわからない。こんなに長い時間、ぶっ通しで即興でピアノを弾き続けたことは、おそらくない。ただただ、指が動き、瞼に微かに部屋の明暗の気配を感じ、家族の気配も感じながら、演奏を続ける。目をつぶっているので、どれだけ時間が経過したかはわからない。だんだん、夢のことなども考えなくなり、抽象的な光の運動を感じていたり、突然、小学校や子どもたちを感じたりした。おそらく1時間以上演奏した後に、様々な死んだ人の気配というのを感じた。具体的に、2月に亡くなられた戸島美喜夫先生にお会いしたわけでもないし、特定の故人の顔が見えたわけではない。ただ死んだ人々の魂が行き交う気配を感じた。今、この空間にいない人々にも音を届けること、念じること、そう思ってピアノを弾くこと、音楽はこうして交信するものだった。この世とあの世をつないだり、こちらとあちらをつないだり、私とあなたをつないだり、いろいろつなぐ。この念じる気持ちを持って楽器を演奏すること。その大切さを、ぼくは忘れていなかっただろうか?今日の演奏はそのことを思い出させてくれた。感謝だ。そして、無限に続くと思った演奏は、突然、出口がやってきた。徐々に部屋の外で鳴いている鳥の声がリアルに聞こえてきて、ぼくは夢から覚めたことを自覚しながら、最後の一音を響かせた。ああ、目覚めだと思った。そして、ピアノの余韻を味わった後に、目を開けた。時計を見ると13時に開始したはずが、14時20分になっていた。80分の間演奏し続けていたようだ。音楽を奏でる上で、本当に大切な感覚を体感するための時間だった。夢と現実の狭間を越える音楽。これからも、この気持ちを忘れずに、音を発していきたい。果たして、さて、ぼくのピアノの音色は、山本麻紀子の夢に届いたのだろうか?

 

夜、門限ズの遠隔ミーティング。6月ー7月の愛知大学の講義の打ち合わせ。オンラインで大学生と何ができるか、いろいろ試行錯誤できるのは楽しみ。