野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鍵盤ハーモニカは耳で演奏する

福岡市の隣の春日市ふれあい文化センターにて、ワークショップ「フルーツバスケットオーケストラ」開催。子どもたち約30名。

 

「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」で始める。子どもが、頭で演奏できるならば、口で演奏できないか?と言う。やってみる。今度は、耳で演奏できないか、と言う。やってみる。耳で鍵盤ハーモニカを演奏したのは初めてで、これは、本人にだけ微細な音がよく聞こえて、意外におすすめ。今までやったことがなかったけど、今度、鍵盤ハーモニカのワークショップをする機会があったら、みんなで試してみたい。

 

その後、フルーツバスケットをして遊び、途中から徐々に楽器を加えて、フルーツバスケットをする。指揮のルールを少しずつ複雑にしてのフルーツバスケットをしながら音楽を奏でる。みんな色々な楽器に触ってもらう。

 

せっかくだから、ピアノの側に集まってもらって、ピアノの内部(ダンパーやハンマーなど)を見てもらったり、ピアノに向かって叫んでみたり、いろいろピアノの音の不思議を味わってもらう。そして、せっかくなので、「ラジオ体操第1」をピアノで演奏してみんなに体操してもらう。ラジオ体操は、いつもピアノの生演奏があるが、それはラジオの向こうだ。毎回、生演奏だから微妙に演奏が違う。そんなことも意識しながらラジオ体操してみてね、と言う。

 

休憩の後は、トーンチャイムを鳴らして遊び、楽器とピアノで即興し、行列して演奏しながら練り歩いた。最後に、いろいろ感想を聞いて、ガーナのジェイムスに教わったアフリカの遊びをして終了。ワークショップが終わった後、楽器を片付けた後も、子どもたちが楽器を触り続けていたのが、嬉しいことだった。

 

ホールの職員の樋口さんは、大学の卒業研究の時に、野村の本(「音楽の未来を作曲する」)を何度も何度も読んでいたそうで、ホールを仕事を始めてから、ぼくをよびたいと、ずっと思っていてくれていたそうだ。それは嬉しい話だ。

 

学校の音楽教育は、なかなか学習指導要領などカリキュラムの制約がある。民間の音楽教育も、ヤマハ音楽教室など、既に確立したカリキュラムで教えている。そうした既存の音楽教育と類似したプログラムを、ホールがする必要はないと思う。しかし、そうした既存の音楽教育には馴染めない人は少なからずいて、ホールは、違った形で音楽と出会える場であり得ると思う。ホールに行けば、いろいろな音楽家に出会える。いろいろな音楽に出会える。音楽する仲間に出会える。そういうホールがあれば、ぼくもそこに行きたいと思うし、みんなもそこに来たいと思う。

 

帰りの新幹線は、始発だし余裕と思って自由席に乗ったら、超満員で1席だけあいていて、なんとか座れた。立っているお客さんもいっぱい。ああ、お盆休みの連休の終わりかーー。うっかり油断。京都に戻っても、通常の数倍の人混みの京都駅。