野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ミエ・アート・ラボ1日目

津の三重県文化会館小ホールに来ています。2年前に、ディディエ・ガラス演出の「ことばのはじまり」という舞台作品の音楽を担当した時に来て以来。今回は、「ミエ・アート・ラボ」というアートと教育の実践と展開を学ぶ研修会の講師として。

1限目は、吉野さつきさんのレクチャー「アートと教育のパートナーシップの今」で、最後は、中野民夫さんと野村も加わって、吉野さんの投げかけた教育とは?教育基本法に出てくる「人格の完成」という文言に対する疑問、モヤモヤ、などを話し合いました。

昼休みに、フリンジプログラムで、南波圭さん(演劇百貨店)と昨年度の受講生によるワークショッププログラムを受講。

午後の2限目は、野村担当。「音楽の特性を他分野で活用したワークショップの紹介」。「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」で、楽器の演奏に正解はないこと、自分で考えていいことを伝えるとともに、鍵盤ハーモニカという楽器が、完成されていないからこそ、様々な創造性の余地が広がっていることなども伝える。「だじゃれ音楽」の話をして、「ケロリン唱」を声を出して体験し、福岡での「お湯の音楽会」の映像を見て、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)の話をして、少し「JACSHA土俵祭り」の映像を見て後、実際に、触れ太鼓のリズムを体験。「かたたたき土俵」もやってみる。「フルーツバスケットオーケストラ」で、色々な楽器をやるとともに、遊びを通してリーダーを次々に交代しながら、即興音楽の指揮の仕方を、共同で構築していく。最後に、算数の授業の例として、ポリリズムで最大公約数を体験する例を、5拍子と7拍子でやってみたり。イギリスのヒューがやっているジオオペラの話をして、火山の歌、ベーシックロック(岩)ソングなどの紹介。40mの5線の畑を耕した話などする。

3限目は、中野民夫さんの「ワークショップを応用した参加型授業 教えるより学び合う場を創ろう!」で、ワークショップの定義、大学の大教室で参加型授業をどのように行ったか、などから始まり、学びについての小さな問いを小グループでシェアしたり、中野さんの忙しい人に向けての歌を歌ったり(ぼくもピアノで即興的に共演)。そのまま、野村のピアノをBGMにした自分の呼吸を見つめる時間に入り、その後も、自分の学びの歴史を振り返る学びの曼荼羅作成などをする。最後は、ファシリテーションの説明があって、終了。

夜は、明日の2日目をどのようにするかを、中野さん、吉野さん、川那辺さん、スタッフの皆さん方と相談すればするほど、収束するのではなく、創造的な拡散が起こっていく。ぼくは、「今、まとめるよりも、明日、受講者の方々にも、今の創造的なカオス状態を体験してもらうのが良いのでは」という提案が、意外にも受け入れられて、明日の進め方は、「何をするか決まってません、さあ、どうしましょう?どうしたいですか?というところから、皆さん、考えて決めて下さいね」ということから始まります。

12年前に、中野さんと夜が明けるまで話した時間があって、その時に、何がモヤモヤしたのか、何が面白かったのかも覚えていない、そんな時間があった。12年前の日記もあるが、今日は読まずに封印しておこうと思った。
http://d.hatena.ne.jp/makotonomura/20041123