野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

問題行動ショーの会場下見

昨日、「天安門事件」のことを書いたが、今日は、「平和と音 (平和研究第51号) | 早稲田大学出版部」という本の情報を知った。なんでも、作品概要のところに

 

平和を奏でる音、平和を表現する音。
カントの思想とEDM、ジェフスキー、カーデュー、高橋悠治野村誠ら現代音楽、ボブ・ディランという音……平和をめぐる多様な「音」を論考する。

とあった。誰かが、ぼくのことも論じているようなので、どんな風に書かれているのか気になった。それにしても、ジェフスキー、カーデュー、高橋悠治、という自分の親世代の3人の先輩作曲家と並べていただき光栄だ。この3人と並ぶのは、通常は、野村誠でなくクリスチャン・ウォルフ。でも、クリスチャン・ウォルフは鍵盤ハーモニカのための作品も書いている稀有な作曲家で、野村誠とクリスチャン・ウォルフは近いのかもしれない。

 

ノムラとジャレオとサクマの「問題行動ショー」まで、残り4週間を切った。本番は、6月29日。即興でも演奏するけれども、今回、新曲を書き下ろしもやっていて、クラリネットとヴァイオリンとピアノの曲。この新曲で意識しているのは、できるだけ時間をかけて、こねくりまわして作曲すること。毎日、手を動かして、どんどん譜面を書き変えていくこと。だから、日々、曲が変化していき、上書きされていくのが楽しい。最終的に、どんなものが生き残るのだろうか。

 

本日は、本番の会場であるアクア文化ホールにて、ダンサーの佐久間新さんとのリハーサル。佐久間さんがジャワ・ガムランの曲を歌う姿を見るだけでも、この人の個性が溢れ出てくる。ワークショップでつくった歌を歌って聞かせてくれるだけで、異様な雰囲気を醸し出す。作曲中の曲にフィードバックできそうなアイディアもいっぱい転がっている。さっそく、帰ったら書き足そう。

 

その後、会場下見と打ち合わせ。プロデューサーの柿塚さん、照明の藤原さん、舞台監督の高岡さんと、現場でチェックすることで、いろいろアイディアが練り上げられていく。上演時間は、おそらく第一部が50分、第二部50分で、休憩込みで2時間弱になる見込み。しかし、砂連尾さん、佐久間さんから提案されているアイディアがいっぱいあって、このままだと3時間の公演になってしまうので、何を削ぎ落とすかを語り合うことになる。そして、どれも面白いので、簡単にボツにできない。しかし、今回の会場にマッチしているアイディアはどれか、と考えていくと、徐々に、何をやるべきか、何をやらないべきかが見えてくる。とは言うものの、何かを削ぎ落としたと思ったら、また面白い案が出てきたりする。でも、創造的というのは、そういうことだし、それでいいと思う。当日は、開演前から終演後までパフォーマンスするかもしれないので、物好きな人は早めに来てもらってもいいかもしれない。

 

ちなみに、今回は指定席で、490席ある会場なので、より見やすい席が確保できる意味で、早めに申し込むのがオススメ。最後列(17列目)でも、客席が傾斜しているので、見えるし聞こえるけれども。

 

帰りの電車の中でも、藤原さんと、ああでもない、こうでもない、と語り合い、公演のイメージがどんどん浮かび上がってくる。

 

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