野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

リゲティの伝記

作曲家ジョルジ・リゲティの伝記を読んでいる。著者は、Richard Steinitz。ハダスフィールド大学の作曲の先生だった人で、ハダスフィールド現代音楽祭を立ち上げた人。今から25年前、イギリスのヨークに住んでいた時、ぼくはハダスフィールド現代音楽祭に行きたかったがお金が十分になかったので、Richardの研究室を訪ねた。そして、現代音楽祭が少額の援助金を出しているのを知り、応募し、連日のコンサートのチケット代と交通費をカバーするお金をもらえることになり、ありがたかった。

 

この伝記を読んでいて、面白かったのが、現代音楽の作曲家として知られるリゲティが、1970年代、学生たちとクラシックを初見で演奏して楽しんでいたとのこと。ゴリゴリの現代音楽を作曲している傍、ハイドンモーツァルトベートーヴェンシューベルトシューマンブラームスといったクラシック音楽を演奏していたというのだから、面白い。きっと、ハイドンとか演奏して、いろんなインスピレーションを得ていたのだろう、と思う。

 

他に面白かったエピソードが、リゲティストックホルムにレクチャーに呼ばれた時に、ショスタコーヴィッチも同じ時期に招聘されていた。でも、リゲティは、ショスタコーヴィッチのことを共産主義の作曲家だと思って、声をかけず、無視していた。で、後になって、ショスタコーヴィッチのことを知って、あの時に声をかければよかったのに、と後悔したらしい。すれ違ったけど、交流せず。

 

6月29日の「問題行動ショー」まで、1ヶ月。砂連尾さんからも、いろいろな提案がメールで送られてきて、どれも正気の人間には思いつかないようなアイディアばかり。ぼくの方は、砂連尾さんと佐久間さんが踊るためのヴァイオリンとクラリネットとピアノのためのトリオを、相変わらず作曲している。日々、少しずつ曲が発展したり、増殖したりしていて、どんどん音楽が変化していくのが楽しい。

 

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