野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

クリスマスの読書

12月23日、愛知県の田原市図書館で「うたう図書館」を開催した日に、大阪の高槻で、野村の箏の練習曲「小鳥の練習曲」が演奏されました。こちらは、聴きに行くことができなかったのですが、お客さんの中に涙を流された方もいた、との報告を受け、作曲者としては、本当に嬉しく思います。

ながらの座・座の橋本敏子さんと、打ち合わせ。座・座を訪ね、橋本さんと随分とお話をしました。また新たな企てをすることになりそうです。

座・座への道中に、また、ヘンリー・カウエルの伝記を読んでおり、本文だけで500ページ以上ある伝記も、400ページを越えてしまい、あと100ページほどで彼の一生が終わってしまうと思うと、寂しく感じてしまいます。大好きな作曲家なのですが、伝記を読んでますます好きになりました。

家に帰ると、注文していた図書館に関する本が届いている。「ラジオと地域と図書館と」、「ちょっとマニアックな図書館コレクション談義ふたたび」の2冊。これは、どちらも、田原市図書館の図書館員である大林正智さんが編著者で関わっておられる本。図書館業界の本を買うことがあるとは、考えたこともなかったが、「うたう図書館」でご縁ができたし、「世界のしょうない音楽祭」を、庄内図書館の方々とも一緒にやっているので、決して無関係ではない。

クリスマスであることをすっかり忘れていて、夜遅くになって、急に思い出し、毎年クリスマス恒例行事、オリヴィエ・メシアン作曲の「幼子イエスに捧ぐ20の眼差し」のCDを聴き、カウエルの伝記を置き、メシアンの伝記を手にとる。こちらはハードカバーの本なので、持ち歩きたくないので、家にいる時しか読めないのですが、最近は家では作曲三昧だったので、全然読む時間がなかったのです。100ページくらい読んだところで放置されていて、久しぶりに続きを読む。第2次世界大戦中1941年の捕虜収容所で、メシアンの「時の終わりのための四重奏曲」が世界初演された有名な場面。捕虜の人々の中には、現代音楽どころかクラシック音楽を初めて聞くような人もいて、それがメシアンの奇妙なリズムに、まぁ、びっくりおったまげたり、大喝采だったり。

その後、友人に電話で「うたう図書館」のことを尋ねられ、色々説明しているうちに、小説の書き出しのフレーズを読んで楽しむ。本の楽しみ方は、いろいろあるものだなぁ。

メリークリスマス。