野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

千住にて

東京(千住)滞在中。午前中は、ピアノの練習と作曲。「オリヴィエ・メシアンに注ぐ20のまなざし」の8曲目「火の島とガムランのまなざし」の構想は、既に頭の中にはあったのですが、今日はその譜面を書きました。

あとは、9月4日の「中川賢一・野村誠生誕50年記念コンサート」に向けて、ピアノの練習。当日に譜めくりを担当する予定のヤマピーとコタローが来て、譜めくりの練習。

その後、仲町の家にて、居間theaterの演劇「四人姉妹」を見る。家を開くをテーマにした劇。俳優が主役というよりは、家が主役。バックグラウンドミュージックがBGMならば、これは、BGT(バックグラウンドシアター)かもしれない。この家を満喫する。また、観客に台本が配られて、台本を見ながら観劇することを推奨される。これも面白かった。観客に楽譜を配って、楽譜を見ながらコンサートを楽しむのも面白いかもしれない。

その後、ピアノの練習の後、東京藝大教授の熊倉純子さんを交えての打ち合わせ。純子さんに会うのも、香港から帰国後初だ。

夜は、だじゃれ音楽研究会(=だじゃ研)の皆さんとの会合。即興でのセッション、9月の市場の日のブースに関する相談、草柳和之さん考案の「DVカルタ」体験会、盆踊りの楽曲創作など。

盆踊りについて、少しだけ。2006年、取手アートプロジェクトでゲストプロデューサーをした時に、「あーだ・こーだ・けーだ」という企画をした。その中で数百あった応募者の中から、約20人のアーティストを選んだのだが、その中の一人として小学校2年生のむっきちゃんを選出した。むっきちゃんは、太鼓の達人が得意だった。ぼくは、3つのルールを設定した。1)アーティストたちに、取手に滞在してもらうこと、2)必ずしも作品を発表しなくてもいいこと、3)作品を発表する場合は、必ず二人以上で発表すること、の3つだった。そのルールを踏まえて、むっきが活躍できる企画として、特殊写真家の山中カメラさんが、取手を題材にした盆踊りを作詞/作曲した。むっきの太鼓で、みながオリジナルの盆踊りを踊った。それをきっかけに、山中カメラさんは、盆踊り作曲家としてブレイクし、各地で盆踊りのプロジェクトをした。別府で山中カメラさんの盆踊りに出会った大友良英さんは、その後、盆踊りの創作をするようになったそうで、札幌や福島など、色々なところで、盆踊りライブをしているのだそうだ。また、Sachiko Mさんが、とても良いメロディーメイカーで、盆踊りの楽曲を作っているのだそうだ。ということは、2006年に、むっきがいなかったら、山中カメラさんも、大友さんも、盆踊りをしていないことになる。むっきがいてくれたから、そういうことが起こったのだ。あの時、むっきを選んだことが、長い時間をかけて、こんな効果になって現れてきていることを知って、なんだか嬉しいな、と思った。

「火の島とガムランのまなざし」の作曲が完了。これで、2台ピアノのための「オリヴィエ・メシアンに注ぐ20のまなざし」(全8曲)は完成。世界初演は、9月4日(@両国門天ホール)で、演奏は中川賢一+野村誠です。お楽しみに。