野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

温水プール療法

昨日で、香港に来て、2週間。あと残り、11週間。1週目は、ここの施設で多くの時間を過ごし、2週目は施設の外の人とも積極的に会った。3週目は、慣れてきたので、いろいろ遊びを入れていきたい。

ここのところ、できるだけi-dArtのオフィスで時間を過ごそうと、朝から顔を出していたので、「ミワモキホ」の編曲作業を全くしていなかった。朝、少しだけ時間があるし、ちょっとだけ編曲する。集中して一気にやれば、すぐ終わるのだけど、こういうあいている時間に10小節くらい書くのが、今の生活のリズムではいい。

10時20分に、温水プールに行く。理学療法士の女性(名前を聞き取れなかった)からロッカーの鍵を渡され、水着に着替え、シャワーを浴びて、入る。今日は、精神障がいの人が、この水浴療法を受けるらしく、10人くらいのクライアントと介護の人がほぼ同数いる。理学療法士二人がガイドする。

水温は34℃。水深は1.3m。プールの中で、自転車みたいな足を鍛える装置や、歩行訓練装置など、いろいろあるが、主に身体障がいの人の時に使うもののようで、今日はほぼ使われていなかった。腰や首につける浮き袋があり、これで浮かんだ状態で、足を動かしてもらったりなど、リハビリを少し体験。単純に、とても気持ちよく、身体がほぐれるので、見学と称して毎週でも参加したいくらいだ。直径1m大の巨大ボールによるボール遊びなど、遊びながら、自然に身体を動かすのが、きっとリハビリにいいのだろうと思った。ここで、どんな音楽ワークショップをするかを考える以前に、久しぶりにお湯に浸かれる喜びで、あっという間の45分。最後に、大慌てで、色々、音を探ってみた。良い時間。

i-dArtの事務所に戻ると、トビーが今日は、まだ日本語教えてもらってないよ、というので、今日のレッスン。日本語を教えると、必然的に広東語を覚えるので、良い。みんなが日本語を覚えられるように、会話の中に、少しずつ日本語を挟んでいる。

オフィスに、ロンドンのサウスバンクセンターの冊子がある。よく見ると、Unlimitedフェスティバルのページが開いて置いてある。海外の情報収集、しっかりやってるなぁ。プログラムの中に、南村千里の演目もあった。彼女の名前を香港のオフィスで見ていて、なんだか嬉しい。

一つ下の階の施設長のプリスカが、山頂に案内したいと言う。来週に、ドライブが計画された。

イェンと1時にランチの約束。40分ほど時間があったので部屋に戻って少しだけ編曲。イェン、イヴォンヌ、トビー、グレイスと5人でランチ。ランチを食べながら、日本語講座。香港の人たちは、みんな日本が好きで、何度も日本旅行に行っているので、日本語を覚えたがる。

部屋に戻ると、プールで疲れたのか、眠くなって、1時間半ほど眠る。目が覚めて、「ミワモキホ」の編曲を書き進めていたら、最後まで編曲が終わるので、明日からは第2楽章の「アプポ」にとりかかることにしよう。
4時にディックと打ち合わせだったけれども、編曲していたら、4時15分。美術アトリエに行くとディックがいる。現在、ディックが担当しているアートコースの金曜日の講座は、身体と音がテーマ。今週、来週まで、身体のことをやり、その後、5回が音をテーマにしたワークショップになる。よって、そのワークショップを5月から6月にかけて、一緒にやろうという提案。喜んでやります。今日は、ボディをテーマにした美術の授業を見学することに。

ディックの講座、まず最初にみんなで体操。腕をあげたり、伸ばしたり。とりあえず、みんなで身体を動かす時間。それが終わったら、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」(正方形とそれに外接する円の中で裸の人が手を広げている図)をスライドで見せて、頭の大きさ8つ分で身長になっているとか、手を広げたサイズが頭8つ分になっているとか、ディックが説明。突然、講義になる。講義は長く集中が持たないので、さっさと切り上げて、みんなの手を広げた写真を2枚重ねたものをプリントアウトして、配る。それを、人の形ではさみで切り抜き、画用紙に貼付け、それに正方形と外接円を書き込み、自由に色を塗る、という課題。ぼくもやらせてもらい、楽しかった。

これが終わったら、今度は、ツボの紹介。鍼灸のツボの図をスライドで見せて、ツボの場所にシールを貼っていく。まずは、人の顔に貼ってみる。続いて、先週誰かが書いた顔や、手や、足の絵のコピーが配られ、ツボの図を見ながら、そこにシールを貼っていく。正しい場所を探して貼る人もいれば、ディックの説明など全く関係なく、好き放題シールを貼っていく人もいる。これで、本日の2時間の講座は終了。自由に絵を描くのも楽しいが、課題を与えられて描くのも面白い。