野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

10年ぶり5度目のヒュー&ノムラ@えずこホール

今日からヒュー・ナンキヴェルとの1週間。25年前にイギリスで出会った友人。25年経っても親友である。ぼくが最も信頼し尊敬する音楽家の一人。

ミス・マープルと13の謎」というタイトルのプロジェクトなので、13個楽器を持って行こうと思う。できるだけ謎めいた13の楽器を選ぶ。合奏がしやすい楽器とかではなく、謎がある楽器を13個入れる。どんな音楽になるかは想像がつかないけれども。アガサ・クリスティの小説では、「13の謎」は殺人事件ばかりだが、ぼくらの音楽ワークショップでは、「13の謎」は殺人事件ではなく、「謎」である。音楽の謎を発見していくこと。シェーンベルクは12音音楽をしたけれども、ノムラとヒューは13音音楽をするかもしれない。そもそも、箏は13弦。色々、考えて荷造りしているうちに、出発の時間。

東京へ移動の新幹線車内で、アガサ・クリスティを少し読むが、そのうちパソコンを開き、気がつくと、4月の香港の国際会議の発表の要旨を書き上げることができた。締め切り過ぎてたので、よかった。

上野駅で、ヒューと再会。東京文化会館の杉山幸代さんや日本センチュリー響の柿塚さんとも一瞬挨拶。そのままヒューを連れて、宮城へ北上。新幹線の車内で、ヒューのこれまでの3日間の東京文化会館でのワークショップがいかに充実していたかの話を聞いたり、明日からのワークショップの話をしたりする。講座の中でヒューが説明した色々な話が面白かった。授業というのは、その日の最後にどこまで到達するかが決まっているけど、ワークショップは、どうやって始めるかはあっても、どこに到達するかはやってみないと分からない、なんて話も面白かった。ワークショップは、準備はできるけど、プランはできない。居酒屋のメニューを見て、どんな食事になるかは、そこに集った人たちの注文によるようなものだ、と言う。面白い説明だ。

白石蔵王駅で、えずこホールの星井さんと再会。ヒューは10年ぶりらしい。もう、そんなに来ていないのか。えずこでは、ヒューと一緒に何度も仕事をした。2004年に「ホエールトーン・オペラ第1幕」、2005年「ホエールトーン・オペラ第3幕」、2006年「ホエールトーン・オペラ全幕上演」をやり、2009年には、「キーボード・コレオグラフィー・コレクション」をやった。今回は、10年ぶりの5度目の登場。「ヒューとノムラのミステリー音楽ワークショップ『ミス・マープルと十三の謎』」。いよいよ明日から始まる。