野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

浅鍵盤、陶芸コースなどなど

3月31日の「徹夜の音楽会」の様子(文章と写真)が、ウェブで公開になりました。よろしければ、ご覧下さい。本当に充実の時間でした。

http://nagara-zaza.net/2018/000323.php#more

アメリカのDaniel Barbieroが、野村誠が2012年に青森で発表した「根楽 Root Music」をコントラバス独奏で録音してくれて、その音源が以下で公開になりました。是非、聴いてみて下さい。

https://soundcloud.com/garisenda2000/root-music-by-makoto-nomura

ということで、香港の生活も7日目。今日は、午前中はオフなので、どこかに出かけようかとも思ったが、部屋で本を読んだり、のんびり過ごす。「ミワモキホアプポグンカマネ」の編曲作業も少しする。

i-dArtのオフィスに顔を出し、スタッフのみんなと雑談。とりあえず、用事のない時に、このオフィスに行って雑談する癖をつけて、まずは、スタッフと仲良くなっておこうと思う。メキシカは、原久子さんに少し似ているし、トビーは、上田千尋さんに少ししている、といった具合に、顔や雰囲気や似た人を思い出すと、初対面な気がしないので、あまり人見知りしなくてすむ。こうして顔を出した結果、あとで一緒にランチを食べようとなった。

美術アトリエでは、昨日の午前と同じメンバーが絵を描いていた。二日連続なんだ。「藝術學院和各班組上課時間表2018」という掲示を見つけ、これを見ると、一週間の活動がわかるので、とりあえず、これをプリントアウトして一部欲しいとリオに頼む。ざっと見ると、月曜日の10:00-11:30が手品、13:15-14:15, 14:30-15:30が英語の書道、13:30-14:30, 14:45-16:00がダンス、16:45-18:45がアート(第2期)。火曜日が、9:15-12:15がアート(第1期)、14:30-15:30がさおり織り、16:00-17:00が「四健種子」と書いてあって、この意味は不明だった。水曜日は、9:15-12:15がアート(第1期)、13:30-16:30がアート(第1期)、14:30-16:00と16:30-18:00が陶芸、14:30-15:30, 15:30-16:30, 16:30-18:00が音楽、木曜日が、9:45-12;45がアート(第3期)、13:30-16:30がアート(第1期)、13:00-14:30にペーパーアート、14:00-16:00,16:45-18:30が実験ダンス、金曜日が、10:00-11:45が布アート、12:30-14:00,13:15-14:00が書道、16:45-18:45がアート(第2期)、土曜日の9:00-13:00がアート(第2期)、14:00-17:00がアート(第3期)といった具合で、毎日、常に何かが行われている。

ということで、ランチの時間まで、少し編曲でもして過ごすか、と思っていたら、メーリンから連絡があり、今日の13時半に一緒に音楽して欲しい利用者を連れて行くから、それまでにランチ食べておいてね、とのこと。

我ら5階の外に広場があり、正面のビルとビルの間に、海が見える。あのビルが5年ほど前に建ったそうなのだが、かつては、いい眺めだったんだろうなぁ、と残念に思う。でも、この広場で、テーブルを囲んで、ランチ。「水曜日だけ、ランチは特別なんだよ、普段がご飯だけど、水曜日だけ麺なんだ。」と、みんなが教えてくれる。今日は、焼きそば。焼きそばは、「チャウミン(炒麺)」、ああ、焼き飯が「チャウファン(炒飯)」だったから、「チャウミン(炒麺)」なのか。汁ソバは、「トンミン(湯麺)」とのこと。覚えやすい。


i-dArtのメンバーが結構そろってランチ。イェン、グレイス、トビー、メキシカ、ベリーニという女子5人と唯一の男子リオ。ちなみに、香港の人は、みんな英語名を持っていて、それで呼び合っているのは、イギリスの植民地時代からの風習なのだろう。

ランチの後、介護の人に押されて車椅子で現れたのが、フレデリック。彼は、声は小さいが、日本語を1年習ったことがあって、日本語を使えることを喜びにしていて、しかも音楽が好きとのこと。日本語での会話や、鍵ハモにぼくが息を吹き込んで、演奏してもらった。指の力があまりないため、鍵盤に軽く触って、ハーフタッチになる。これが、「浅鍵盤」という奏法になり、ピッチが下がる。こんな風に鍵盤に触れるのか、とぼくは感心して、真似してみた。

その後、ぼくが鍵ハモを演奏するのに合わせて、メキシカが踊りながら、フレッドの身体に触ったりして、コンタクトするセッションになったりした。メキシカが色々なちょっかいを出している時に、実は、フレッドの右足が微かにであるが、音楽に合わせてビートをとるように動き続けていた。足先の動きをみながら、ぼくは楽器を演奏した。また、彼とのセッションの機会をつくろう。

その後、音楽コースの見学。ドラムが本職というハンさんが、ピアノや歌などの個人レッスンをしていた。陶芸のコースに行くと、みなが粘土をこねて、器やオブジェなどを作っている。淡路島で粘土から楽器を作ったことを思い出す。以前、展示の時に使ったパネルに活動の説明があった。陶芸をすることは、アートとしての価値はもちろん、肢体不自由の人の手の筋肉を活性化させたり、手と脳の共同を助ける療法的な意味もある、とのこと。陶芸の先生は、レゲエさん。ファンキーな名前だ。陶芸のクラスで楽器をつくれないかなぁ、と提案すると、既に焼いたものをテストで出してきて、音を鳴らして遊ぶ。来月あたりに楽器をつくって、6月くらいに合奏できたら楽しそう。その後、音楽コースに戻ると、大人数でポップスを演奏していた。ぼくもセッションに加わった。

今からちょうど1週間前、草本利枝さんの写真展会場で演奏した。あれから1週間かぁ。京都のみんなはどうしているだろう?

1階の売店が6時に閉まるので、ちょっと買い物に行く。先週金曜日のダンスに参加し、素晴らしいソロを踊ったエンジェルが売店のカウンターにいる。買い物しながら、売店の人々と雑談。広東語を教わる時間。「ここに来れば、広東語が上達するよ。いつでも来なさい。」と売店のおばちゃんに言われる。