野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

QQQ世界初演

香港も残り4日。

メーリンとメキシカと日本からのクニポン、アッキー、サトムー、コタローとランチ。ますます、JCRCと日本の人々と、色々なプロジェクトが進行していきそうです。ランチの中で、アイディアが膨らんでいきます。

ということで、ツアーコンサート。本日は、また、違う演目。

まず、最初は、カフェで「Improvised Cantonese Opera」なのですが、開演前に7歳のルナちゃんがキーボードを楽しそうに弾いてくれるので、ルナちゃんとのセッションを楽しむ。その後、お年寄りたちがスタンバイ。

今日は、美術館関係者、コンテンポラリーダンスのダニエル、CCCDのモックさん、サウンドアーティストのフィオナなどのアート系の人々と、福祉系の人が混在する観客。

お年寄りたちと最後の共演。広東語のやりとりも、色々観客にうけているようで、よかった。

2曲目の「車椅子四重奏」は、彼らの居住空間で。出演者以外に居住者の車椅子の方が多数観客にいる。いつもは、疲れてしまい、1分も経たないうちにマレットを投げるシンさんが、いつまでも叩き続けたのには驚いた。この人たちと2ヶ月前に出会ったときに、かなりカラダの動きも限定されているので、こんな風に四重奏のコンサートができるとは、まったくイメージができなかった。でも、今となっては、本当に音楽家になってきている。また、一緒にやりたいな。

3曲目は「MTR Remix」。カヤンの言葉の世界。言葉と韻律の世界。ラップとかヒップホップよりも断然複雑で素朴な音響の詩。ミニマルなうた。そして、現場で、創作のデモンストレーションもできた。

4曲目は、「Happy Handsome Rock'n Roll」。観客の皆さんも加わって、てんぷら、すきやき、寿司と熱唱。

5曲目が、本日のクライマックス。「Quite Quiet Quintet」という静かな五重奏。略称、QQQ。これは、ハンドベル、木琴、に少しのキーボードの極小の音楽。ある意味、能楽にも通じる緊張感のある舞台。ほとんど音がないからこそ、それぞれの音が劇的であり、動きも、姿も全てが絵になる即興。本当に達人でもできないような作為を感じさせない見事な即興。

6曲目が、「Ceramic Music」で、陶芸のクラスの人が作ってくれた楽器を演奏。最初は、野村のソロ。途中で、コタローとデュオ。最後は、観客参加で、すごい面白い音楽になっていく。

7曲目が、最後の「ドラム・カーニバル」。野外の円形広場で、今にも雨が降りそうで、一瞬ポツンと来たが、演奏を始め、ダンサーが踊り始めると、雨雲が移動していった。アンコールに、もう一度、参加型で、多くの人々に踊りに入ってもらい演奏。この演奏が終わる最後の一音を鳴らした瞬間に、一瞬、気絶しそうになった。意識を失いそうになったが、今、ぼくが倒れたら、みんなが心配するな、と思って、気絶しないように留まったら、意識が戻った。なんだったんだろう。

その後は、記念撮影、後片付け。

i-dArtのギャラリーに出かけ、トラムに乗った後、夕食。深夜まで、QQQを巡って、議論が続く。楽しく語り合った夜。