野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぶつかりピアノ 猛稽古

新曲を作曲する時間が全くとれないほど、連日のリハーサルとコンサートの日々で、その合間をぬって、40分だけ両国駅前のドトールで作曲とかやっている積み重ねの末、ついに新作完成です。全8楽勝15ページとしたのは、大相撲が15日で8勝すれば勝ち越しなので。タイトルは「片岡祐介に捧ぐ 相撲の譜」。昨日の「ナマムギ・ナマゴメ」とは全く違ったタイプの図形楽譜や指示書きなどが満載で、星取表が楽譜になったり、土俵が楽譜になったり、観客参加があったり、いろいろな仕掛けがある作品です。

第1楽勝 星取表コラール
第2楽勝 呼上げカノン
第3楽勝 てっぽうハーモニクス
第4楽勝 土俵の譜
第5楽勝 のこったひびき
第6楽勝 古式土俵入りの親
第7楽勝 たいこのむかで土俵入り
第8楽勝 四股んだくたー

ということで、両国門天ホールにて、両国アートフェスティバル2017「ぶつかりピアノ」の千穐楽に向けて、猛稽古です。初日の大須賀かおりさん+及川夕美さんが素晴らし過ぎた上に、中日の高橋アキさんと寺嶋陸也さんの横綱相撲は既に千穐楽の優勝決定戦のような素晴らしさがありました。そもそも、我々はとても楽しい「花相撲」の日を担当すると、芸術監督の鶴見幸代さんから仰せつかっていたのですが、諸事情により、「花相撲+千穐楽」の両方を務めあげる大役を担うことになりました。えーっ!!この名演の後に、千穐楽の大役ですかーー!!!と重責ですが、頑張るしかありません。練習していくと、初日や中日に演奏された曲目とは、また全然違った個性のプログラムが耳に新鮮で、これは面白いと確信しました!!また、片岡祐介さんが、凄い。音楽性の幅広さが尋常ではなく、単純なアイディアが無限に広がっていくかのよう。千穐楽の大役に、非常に頼りになるパートナーです。

松平あかねさんの25分の新曲は、恐るべく集中力とエネルギーを必要とする大作で、この作品を上演することで、相撲界のヒエラルキーを音響的に体感できます。本当に、今までにどこでも体験したことがないような曲です。この曲の演奏のために、本日は現在の4横綱の土俵入りの動画などを何度も見て、入念に研究もしました。

宮内康乃さんの新曲は、とてもポップで軽快なビート感覚のある曲で、打楽器奏者の片岡さんとの2台ピアノで、リズミカルに演奏しながら、ゲーム性もあり、松平作品と好対照な作品です。

片岡祐介氏の新作「発気揚々」は、間合いと呼吸の音楽で、微妙に相手の間合いをずらしたり駆け引きが面白い曲です。

野村の新作は、これまでの相撲の研究と、様々な音楽創造ワークショップで発見した方法を組み合わせたような曲。雑多で多様である相撲の様々な側面、神聖なものと俗なものが同居する部分。俗なあそびに溢れているところが、聖なる祈りと隣接しているようなそんな音楽体験になれれば、と思って書いております。

ということで、本日の猛特訓も無事に終了。明日も猛特訓します。それにしても、鶴見幸代って、凄い企画力だなぁ。凄い無茶ぶり力だなぁ。凄いポジティブ思考だなぁ。

8月6日の公演、前売りチケット完売ですが、当日券はあります。皆さん、是非、お越し下さい。
http://www.monten.jp/RAF3