野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぶつかりピアノ千秋楽

広島の原爆投下から72年目です。本日は、両国門天ホールでの「ぶつかりピアノ」千秋楽でした。開演1時間以上前から、当日券を求めて来て下さる方々もいて、感謝です。

コンサートの1曲目が、野村作曲の「相撲聞序曲」。この4分の曲1曲だけ出演の福原さんとの共演です。こちらは何曲も演奏するわけですが、こちらも1曲だけ出演くらいの気持ちで臨まないと失礼なので、この曲だけのつもりで、全精力を注いで演奏しました。そしたら、2曲目が、その曲1曲だけ出演する高田さんとの共演なので、こちらも5分間での一期一会の即興演奏に全精力を注いで演奏。普通の即興の時よりは、相撲なので、できるだけ動き続けることを意識しての5分間でした。その後、もう一人の横綱ピアニスト片岡祐介さんと森下さんの即興、片岡さんと葉月さんの即興と2曲はお休みでしたが、その後は、片岡さんの新曲を片岡さんとのデュオで初演して後、松平あかねさんの番付表を音響化した新曲を初演。序の口から横綱までのボレロのようなクレッシェンド。すごいエネルギーと集中力を要する曲なのですが、やってみての体感は、大関横綱では、責任感と重圧が全然違って、横綱になるとは、こんなものを背負うのかということでした。汗だくに。

2部は、宮内康乃さんの新曲を楽しく初演。宮内さんにとっては、新傾向の作品だったよう。野村の新曲を色々な方々の協力を得て初演。個人的には、第3楽勝の「てっぽうハーモニクス」を結構な時間やれ、その響きと身体の動きが体感できたことは大きな収穫。最後に、片岡氏との結びのインプロヴィゼーションで、永遠のライバルである片岡祐介さんとぶつかり合えたことは大きな収穫。以前、木佐貫邦子さんと黒沢美香さんの「50歳のデュオ」という公演を観に行った時に、大御所対決のすごみを感じたのですが、気がついたら、二人とも48歳で、限りなく50歳に近いデュオだったのかぁ、と。次の取組の機会があるまで精進していきたいものです。

作曲にしても、即興にしても、ピアノにしても、普段の自分の稽古が全部本番には出てしまいます。相撲界では「稽古3年」と言って、今やっている稽古の成果は3年後に出るのだそうです。これから稽古に励んで、精進していかねば、と強く思いました。

そして、CD販売コーナーにあった他の作曲家/演奏家たちのCDをお金があったら、全部買いたいくらいでしたが、現金の持ち合わせがそれほどなかったので、5枚購入しました。皆さんから本当にたくさんの刺激をいただきました。いっぱい勉強させていただき、3年後に成長した野村を見せられるように稽古に励みます。

打ち上げも楽しく、そして、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)のミーティング。つるみん、黒崎さん、一ノ矢さん、そして関係者のみなさま、本当にありがとうございました。はー、どすこい、どすこい。