野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

シンガポール3日目

シンガポールにて、CCD Symposiumに参加していて、本日は二日目。12人のアーティストが5部屋に分かれて、1時間のワークショップを行うのですが、1時間を5回やって、参加者全員が全部のプログラムを体験できるというもの。シンガポールの人は、詰め込みが好きらしい。

ぼくはパーカッショニストのSyedと二人組。基本、彼が前半20分、次に野村が20分やって、最後に20分ディスカッションするような内容。同じことを5回するのは、やる方が飽きるので、毎回違ったことをする。

1回目:太鼓を色々な扱い方をする、3つのサークルに分かれて離れて合わせずに演奏する
2回目:門限ズの10カウントのエクササイズ、即興ダンス⇒即興スピーチ⇒即興ドローイング⇒即興音楽
3回目:輪になってお互いに顔を見ながら演奏する⇒各自、窓の外を見ながら演奏する
4回目:お互いに背を向け合いながら声の即興⇒歩きながら声の即興⇒偶然、部屋に入ってきた俳優のジューンが足を踏む動きをした⇒壁を叩いたり、楽器を鳴らしたり、ルールがなくなり自由な即興へ
5回目:これまでの4つのワークショップを受けてのキーワードを各自一語選び、それを組み合わせて歌をつくる

3回目のワークショップでは、前半は、自分の属するコミュニティの中での親密な即興で、後半は、自分の属するコミュニティ内の関係がやや希薄になるが、外とのつながりが生まれる。この前半と後半のバランスは、コミュニティのあり方を考える上で参考になる、という話をした。

4回目のワークショップでは、ルールを決めた即興をしていたところ、偶然、そのルールを知らない外部の人間が入ってきたことで、そのルールから自由になるきっかけができた。これは、コミュニティが閉塞している時に、外部からの影響を排除せずにいることで、そのコミュニティが変化していく、ということを体感する機会になった。

というような話し合いもして、最後、5グループの人々が集まり、キーワードをホワイトボードに書き出し、フェリシアから、このキーワードで即興で歌をつくって歌って欲しいと頼まれて、シンポジウムを締めくくるパフォーマンスをさせていただいた。

そして、余韻に浸る時間もなく、そのままタクシーで空港に向かい、空港でラクサを食べて、飛行機に飛び乗り、日本を目指す。