野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

自作を解説(鳥取しょうぎ作曲まつり3日目)

鳥取の南にある智頭のサドベリー小学校へ行く。と思ったら、着いたところは新田浄瑠璃会館。今日はここに子どもたちが来るらしい。この学校は、子どもたちが自分のやりたい活動を決めて、それを行うという学校で、所謂一斉授業はない。そこで、子どもたちと即興で楽器を演奏し、簡単なルールで曲の構成を決めるということをした。

午後は、この学校は子どもたちが各自、自分で自分のやりたいことを決めて活動するのだから、野村も自由に、ただ自分のやりたいことをして、子どもをサポートしたりせず、何か教えることもせず、指示もせず、ただ、自由にやっていようと思った。そうしていたら、踊ってみたり、即興で言葉が出てくるままに歌ってみたり、さらには、建物の外に出て行ったりして、外で演奏したりした。子どもがどうかは全く考えずに。そうすると、追いかけて来る子もいるし、とても良い時間だった。

夜は、鳥取で市民オーケストラで活動する井上さん、たみを運営する蛇谷さんと、オーケストラについて語る会。野村の2001年のピアノ協奏曲「だるまさん作曲中」と、2015年の「さきら新たなる旅立ち」を映像で見て、何度も映像を一時停止し、譜面も参照しながら、自作の解説。オーケストラについて良く知っている井上さんと、オーケストラなんて全く知らない蛇谷さんの質問ややりとりが大変面白い。こういう自作をゆっくり解説する場は、意外にやっていないし、大いに盛り上がり、面白いのだ、ということが分かりました。また、やりたいです。2作品を取り上げて、4時間もかかった。


ということで、その後、イタリアとメールのやりとりをするなど、モンポウの本を読む時間もなく寝ましたが、以下は、鳥取に向かう電車の中で読んだ場面のメモ。

ウィルフリッド・メラーズは、スペインの黄金時代の作曲家を紹介した後に、突如、イギリスと比較する。イギリス人の読者向けなのです。やはり。セルバンテスの「ドン・キホーテ」とシェイクスピアの「ハムレット」を対比しながら、ルネサンスのイギリス作曲家とスペイン作曲家を比較する。イギリス人には、こう説明すると、スペインのルネサンスを理解しやすいのでしょうが、ルネサンスのイギリス音楽を、こちらはそんなに知らないので、おいおい。ということで、以下も、自分の勉強のためのメモです。

Dr. John Bull(1562-1628)は、オランダのスウェーリンクやイタリアのフレスコバルディと並び称されるイギリスのオルガン奏者/作曲家。(スペインのFrancisco Correa de Arrauxo(1584-1654)、Antonio de Cabezon(1510-1560)などと比較してみましょう。)

鍵盤ハーモニカでも何度も演奏しているJohn Dowland(1563-1626)は、イギリスのリュート奏者/作曲家。(スペインのAlonso Muddara(1520-1580)やLuis Milan(1510-1560)などと比較してみましょう)。


ブリタニア音楽の父」とも言われるらしいWilliam Byrd(1543-1623)も、イギリスの作曲家。(スペインのTomas Luis de Victoria(1548-1611)と比較してみましょう。)

で、当時のイギリスとスペインの作曲家との比較が終わって、次に進んでいるのですが、タリスが出てこないので、Thomas Tallis(1505-1585)も追記しておきます。40声のモテットって、生で聴いてみたい曲です。