野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

実験音楽とガムランと

本日は、実験音楽の作曲家79歳の大御所のマイケル・パーソンズを訪ねる。1969年にスクラッチ・オーケストラを結成して以来、イギリス実験音楽の中心的な存在。ぼくは、1994年に知り合って以来、マイケルの家には、何度も泊めていただいているし、もう何十回も会っている。今日は、エンリコと一緒に訪ねた。

マイケルのピアノに、不思議なフーガの楽譜がある。今、作曲中のもの。何かと思えば、ショスターコーヴィッチの弦楽四重奏のメロディーをもとに、ピアノのためのフーガを作曲。ショスターコーヴィッチの原曲では、フーガにならないが、フーガにすると面白いと、作曲。これが、なんとも言えない怪しげで美しいマイケルらしい曲。

ピアノには、ビートルズの編曲楽譜もある。てっきり高橋アキさんの企画のために書いたのか、と思いきや、違って、「まごがピアノをやっているんで、誕生日に編曲してプレゼントしたんだ。」という。これが、単純な編曲なのに、すごく美しいアレンジ。出版するためでもなく、コンサートのためでもなく、おまごさんのために、こうした美しい曲を書くマイケルが素敵だと思う。

マイケルに、野村の「Slapping Music」や「ミワモキホ」を聞いてもらう。彼を訪ねると、こうして音楽を聞く場になるのも、とてもいい。

その後、作曲家のアンドリュー・メルヴィンが息子のアシュリー君を連れて合流。アンドリューやエンリコが帰って後も、マイケルの女声合唱の新曲を聞かせてもらったり、野村の作品を聴いてもらったりした。

ちなみに、11月15日に東京で、高橋アキさんが、マイケルの曲を日本初演する。マイケルの譜面を昨年、アキさんにお渡ししたところ、演奏していただけることになった。嬉しい。ちなみに、マイケルの1962年ー2017年の45年間の様々な作品を集めた2枚組CDは、ネットでも購入できる。

https://www.nmcrec.co.uk/huddersfield-contemporary-records/patterns-connection

その後、SOASに移動。今日は、ガムラン作曲家のアリス・ダルヨノが企画するガムランフォーラムの第6回があると言う。ぼくの作品は、第1回の時に演奏されたし、その時は、スカイプで質問に答えたけれども、参加するのは、今回が初めて。ドイツ在住の日本の作曲家、イギリスの作曲家、スペインの作曲家、アメリカの作曲家、4人の新曲。ガムランとエレクトロニクスとダンスミュージックというテーマで。京都で、鈴木潤さんや脇坂明史さんとやったガムランコンサートの音源も、今日の方々に聞いて欲しいとも思った。意欲的な作品群。ガムランの可能性を開いているアリスは、素晴らしい。

その後、インドネシア料理を食べに行く。まさかロンドンでインドネシア料理とは!インドネシア語が飛び交い、ギギーの後輩のジョグジャ出身の留学生ロッキー君もいる。深夜まで熱く語り合う。