野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

藤浩志を驚かせるようなことをしたい

米子での公演が終わり、門限ズ(野村誠+遠田誠+倉品淳子+吉野さつき)と美術家の藤浩志さんと、鳥取銀河鉄道祭事務局とで、11月のゲキジョウ実験!!!「銀河鉄道の夜→」の打ち合わせ。藤さんは、「無茶振り大歓迎」と堂々と仰る横綱の風格。さらには、「無理なことはしなくて大丈夫。できることと楽しいことだけやってくれればいい。何ができるか言ってくれれば、こちらがそれに合わせて考えられるから。」と言う。横綱は、相手がどうきても、堂々と受け止める。藤さんの存在は、企画全体に安心感を生み出す。すごいなぁ。11月まで、どれだけ藤さんに無茶振りができるかが、こちらの課題。藤浩志を驚かせるようなことをしたい。

 

京都に戻ってくる。

 

移動の車内で、「Beyond Britten -Composer and the Community」を読み終える。Peter Wiegoldのワークショップでの様々な手法についても面白く読んだ。コミュニティ・ミュージックと言う場合に、サンババンドだったり、アフリカンドラムだったり、スティールパンだったり、合唱だったり、吹奏楽だったり、色々なコミュニティ音楽がある。その中で、イギリスは、作曲家がコミュニティと関わってきた。ホルストだったり、ブリテンだったり、ティペットだったり、カーデューだったり、様々な作曲家がコミュニティと関わってきた伝統があって、イギリス独自の展開をしている。Peter Wiegoldは、そうした中で、創造的な音楽ワークショップと現代音楽の作曲の追求をしてきた作曲家。現代音楽にも、ジャズにも、民族音楽にも影響を受けながら、作曲家とコミュニティの関わりを探求してきた。

 

こうしたイギリスの作曲家がいろいろ実践していること、日本で野村誠や樅山智子や鶴見幸代や宮内康乃や大友良英鈴木潤片岡祐介池田邦太郎などが実践していること、そうしたことをつなげるようなことが、できたら面白いのにな、と読んでいると思った。これらの作曲家の活躍の場は、いわゆる現代音楽祭などの外で活動していることが多いから。かつて大阪で「熱帯音楽祭」ってやった時に、大友さん、野村、佐久間新さん、小島剛さんが、それぞれ子どもたちと創作して発表したけど、あんな風に、複数のアーティストと子どもたちが創作した音楽が、一度に体験できる場があるのは、面白かったなぁ。誰か企画しないかな、と思ったりする。