野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

マレーシア4日目

ASWARAという国立芸大を訪ねる。今日は授業ではなく、ここの先生達と交流。マリオンという振付家がいて、彼女はここの先生であり、マレーシアのコンテンポラリーダンスの母というべき存在らしく、実は有名人らしい。分野は違うが、日本で言えば坂本龍一さんくらいの世代で、多分、坂本龍一さんくらい誰もが名前を知る存在なのだろう。彼女が有名であることが邪魔する部分も多いようだ。「門限ズ」の話などをすると、彼女も自分のやっている似たプロジェクトの話をしたりして、共感できる部分は多かった。

ワークショップは、主に伝統音楽系の先生達が集まった。ぼくの鍵ハモと悦ちゃんの箏の即興演奏でプレゼンをし、途中から先生達がガムランの演奏で加わる。箏を悦ちゃんと二人で運びながら歩きながら演奏し、ガムランの上空を箏が飛ぶ。マリオンの上にも箏が飛び、マリオンが少しだけ踊った。

その後、マリオンの研究室で色々話をした。彼女が56歳の時、28歳の若い振付家に振付けをしてもらいソロダンス作品を作り、神戸のダンスボックスなどで上演した。大御所が若手の演出でソロをやっているのを、日本人が驚いていたと嬉しそうに語る。60歳の高橋悠治さんがぼくの作品を演奏してくれた時、ぼくは29歳だったなぁ、と思い出す。

夜は、SEGi Collegeで、作曲家のカーフーの作曲の授業に。そこで、「ズーラシアの音楽」を上映し、竹澤さんの箏の演奏を聴き、その後、学生達と7人で一面の箏を演奏し、7人で一台のピアノを演奏してみた。複数の人での演奏は、箏の方が美しくなった。カーフーは、中国系の作曲家で、西洋の楽器に作曲する現代音楽の作曲家であると同時に、中国楽器の奏者でもあるらしいが、楽器を持って来ていなかったので、セッションはできなかった。カーフーのプロジェクトに参加する日本人のフルーティストのダイスケさん、ヴァイオリニストの方も、授業を見学に来てくれてた。中国のオーケストラで活動した後に、現代音楽の演奏がしたくてフリーランスになったとのこと。