野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ながらの座・座での最終リハーサル

朝起きて、1時間だけ、島袋くんの岡山芸術交流のための作曲。毎日、空き時間をみつけて1時間だけ作業しようと決めている。これでも、意外に少しずつ順調に作業が進んでいて、積み重ねの大切さを思う。

明日のコンサート「今の音楽 居間の音楽3」に向けてのリハーサル@ながらの座・座。行くと、松澤佑紗さんが、「りす」を練習している。ぼくが16年前に作曲した曲で、演奏家の解釈の余地も色々ある作品だが、座・座の和室の空間とも呼応して、本当に良い響きをしている。それにしても、伝統音楽の世界にしっかりと足をおろす彼女は、どうして野村誠の音楽世界を直感で理解しているのだろう。確かに彼女は、遥か昔から野村誠の音楽を知っていたかのようだ。同じ星で生まれたかのような感性を持っている。本当に大切な若い才能だと思うし、ぼくが「りす」を作曲した頃に、まだ箏を始めてもいなかったかもしれない松澤さんが、今、こうしてこの曲の世界観を広げてくれていることを、本当に幸せに思う。

声のアンサンブル曲「せっしゃエンリコでござる」を、エンリコ、やぶさんと3人で合わせる。我々3人の共通点は、イギリスのヨーク大学で過ごしたことだ。ヨーク大学の自由な精神の喜びが、日本建築の中で、こうして蘇るのも嬉しい。佑紗ちゃんが、エンリコにサムライの姿勢などを指導する。

野村の鍵ハモと松澤佑紗の箏。そこに、やぶくみこ、エンリコの太鼓が加わっての即興演奏。普段、全く違う世界に生きているのに、こうして音楽で会話をしていくと、不思議に懐かしい仲間達。

グンデルソロ「山寺にひびく音」は、やぶさんのために作曲した新曲。生まれて初めて書いたグンデルソロ曲。初めてガムランの作曲したのが20年前。20年の月日を経て、初めてグンデルソロを書いた。やぶさん、ありがとう。

4人でのアンサンブルで、「きせかえコンチェルト第2番」。エンリコは、この曲をイタリアでも演奏したい、と言ってくれている。箏と鍵ハモと打楽器という珍しい編成の曲。このメンバーでやりたくって、書いた。難しいので、何度も練習。

エンリコ、やぶさんとイタリアでも演奏したことがある「まえまちアートセンター」は、山口で「まえまちアートセンター」に滞在した時に障子に譜面を書いた(すぐ横には、大友良英さんの4コマ漫画があった)。座・座の色々な空間を楽しんで演奏。

そして、エンリコ+やぶ、によるテーブルデュオ。楽しいなぁ。良い仲間だなぁ。良い音楽だなぁ。

箏と打楽器のためのポータブルコンチェルト「ポーコン第3楽章」は、悠久の時間。座・座の庭から、鯉、虫、鳥などの音が共演してくれる。松澤さんの箏の音色に聞き惚れつつ、エンリコとやぶのパーカッションの音色の工夫も、凄い。実は、パーカッションが凄い聴かせる曲。

「手拍子のロンド」は、今日は練習せず、ここで時間切れとなり、エンリコのイタリア料理の振る舞いがあって、美味しい夕食会。いよいよ明日が、本番。楽しみすぎます。

http://nagara-zaza.net/2016/000304.php

プログラムの詳細は、昨日の日記を参照下さい。