野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

マレーシア5日目

トッカータスタジオでのショーイング1日目。出演は、ヤンセン(サックス)、シューワイ(ヴォイス)、チョーグアン(テルミン、ホルン)、アイダ(ダンス)、悦子(箏)、誠(ピアノ、鍵ハモ)で、幸弘(撮影)というメンバー。

ヤンセン+悦子の激しくスリリングなデュオの後、シューワイとぼくで、ボイスのデュオから始まって、そこにアイダが加わり、チョーグヮンが加わり、いつの間にか全員の即興に。マレーシアの皆さんが遠慮がちなので、関わりを求めて、ぼくはボイスや、踊りなど、色々と踏み込んでいきました。

色々なことがあって、ぼくは「ドリアン食べ放題」の話しを弾き語りました。ドリアンは臭いが好きになると病みつきになる。慣れないと最初は美味しさが分からない。トッカータスタジオの音楽も、ドリアンのようだ、と歌った。英語とインドネシア語を混ぜて歌ったので、悦ちゃんに、何言ってるか分からないと、パフォーマンスの中で日本語で突っ込まれて、でも実は、悦ちゃんは、即興の中で喋ったのは初めての経験だったそうです。

そんなことが色々あって、非常に濃厚な一日目になりました。ただ、終演後に振り返るとマレーシアの4人のサックス、ヴォイス、テルミン、ダンスのスタイルが、本当にマレーシアでしか体験できないものなのだろうか?という疑問の声も出てきました。これは、ある程度、予想されたことでもありましたが、東京でも、ロンドンでも、ベルリンでも、似たスタイルで即興する人がいて、彼らの独自性、彼らのアイデンティティは、どこにあるのか?彼らの本来の魅力を我々は引き出せずにいるのではないか?相手によって、英語やマレー語や中国語を使い分ける彼らは、ぼくらにはこの言語が適しているかな、と一つの引き出しを開けたのではないか?まだ別の隠れた引き出しがあるのではないか?そのためには、我々が違った表情を彼らに見せる必要があるのではないか?というのが、明日への宿題になった。