野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

寧波大学でのコンサート

今日は午前中の予定がないので、8時過ぎに朝食。朝食会場で、菊武先生、小林先生、田中先生らと合流し、歓談。天気が悪いので、お昼の野外演奏は中止になるだろう、と話し合う。また、三味線などは野外は厳しいし、中止にすべきと判断。

朝食後、近所を少し散策。外に出ると、雨はあがっていて、雨の後なので、汚染物質が流されるのか、空気がきれいで心地よい。

ホテルに戻って、くつろいでいると、井口先生が部屋を訪ねて来られ、天気が悪いが王さんは決行したいと思っておられるようで、邦楽の方々は楽器の関係上キャンセルを希望されている、と仰るので、野村のソロ演奏で何とかしますとお答えする。

しばらくすると、小林先生と田中先生がフルーツ山盛り買い込んで、ぼくの部屋を訪ねて来られる。今朝は来客が多い。フルーツを食べながら、歓談。バリ音楽とインド音楽の名手とのフルーツタイム。

11時にホテルのロビーで集合して、王さんと昼食の学食へ移動。三味線も準備されておられ、この天候の中、演奏されようという先生方に敬服。

学食は360円ほどで食べ放題らしい。品数豊富で、質も決して悪くない。クイックランチを済ませる。

学内の野外ステージは、ステージではなく、洗濯物が全てのベランダで干されている7階建てくらいの学生寮のすぐ真ん前。敷物を敷いただけで屋根もなし。雨が降ったら、三味線が濡れてしまう。ここで、地歌の「越後獅子」、「石橋」の2曲を菊武先生とミョウユウさんのお二人で合奏の後、田中先生の作曲の「楽園の彼方に」を箏とシタールガムランと鍵ハモで演奏。無事、雨が一滴も降らずに、ミニライブを終える。通りかかりの学生に、ちらしを配るスタッフたち。今夜の演奏会の広報も兼ねている。授業の昼休みに、通りかかる学生たち。結構、興味、関心をひく。

越後獅子」の演奏を聴いて、ますます、「越後獅子コンチェルト」の新バージョンを今年も書きたい気持ちが芽生えてくる。来週には、中国での経験を経たこのメンバーと、大阪で「世界のしょうない音楽祭」をご一緒できると思うと、非常に楽しみでワクワクする。

午後、近くのスーパーに小林先生、田中先生と行って、束の間の買い物の後、ホールにてリハーサル。野村誠作曲「越後獅子コンチェルト」の第1楽章のみを、試す。田中先生のシタールが入ると、邦楽とインドが融合して面白い。小林先生のスリンは、尺八のようにも響く。田中先生が作曲した「楽園の彼方に」に、ピアノでどう入るか、リハーサルの間にいろいろ試行錯誤。この箏、三味線、シタールガムラン、ピアノという編成、なかなか面白いバンドで、今回限りでなく、色々やってみたいと思う。

お弁当が届き、さっと夕食。こうしたお弁当のクオリティも高い。中国の食文化の豊かさ。

6時になり、ワークショップ参加者が集まってきて、通し練習をして、あっという間に本番に。

まず、冒頭に地歌が3曲。地歌「石橋」を箏と三味線での演奏。客席の子どもはザワザワしていて、集中しにくい空気があるものの、演奏が素晴らしく、どんどん引き込まれていく。2曲目が、箏2重奏で、3曲目が三味線二重奏。ここまでが日本の音楽。

4曲目「楽園の彼方に」で、日本、インドネシア、インドが合体し、そこにピアノで補強していく多国籍音楽。5曲目の「越後獅子コンチェルト」の冒頭では、バリガムランとピアノの即興セッションで派手にペロッグ音階が鳴り響いた後に、地歌に、ピアノやシタールの替手がついて、そこにバリの笛が加わるこれまた無国籍音楽。

最後のワークショップでの新曲は、こうした多国籍バンドに、中国楽器も西洋楽器もおもちゃも加わっての多国籍オーケストラ。本番は、こどもたちも集中して、とても良い演奏になった。

終演後は、次々に色々な人と記念撮影をし続ける。皆さん、どうもありがとう。

大阪音大の先生方とホテルで打ち上げ。語り合い、笑い合う。明日は、日本に戻ります。