いよいよ「トゥンビ音楽祭」。朝からリハーサルだが、音楽祭のスタッフが車で迎えに来てくれる。プンドポでは、ウーキルのバンド「スニャワ」がサウンドチェック中。ぼくは、その裏のミュージアムにて、会場チェックとリハーサル。ピアノを置く位置、マイクの位置などを決めて、その後、ギギー君とリハーサル。途中、日本のシーンでは、子どもの頃から盆踊りで踊っていた郡上おどりの「かわさき」を演奏することに。ずっとインストではなく、歌も歌いたく、インドネシア語で歌詞を考える。リハーサルも順調に。午後は、ミュージアムにて「新しい伝統音楽」に関するディスカッションが開催されるので、それに参加。インドネシア語の聞き取りが難しかったが、なかなか面白い場だった。民族音楽学者やジャーナリストによるプレゼンの後、客席からの意見/質問に応じていくのだが、最初は遠慮していた若者達が、後半になって、次々に発言をするのが印象的。
その後、一度、家に戻る。昨日まで風邪で休んでいた妻が、部屋の掃除などをしており、復活。部屋がきれいになるだけで、かなり演奏が良くなりそうな気がする。一休みして後、トゥンビへ。スボウォさん、メメットさん、ウィウィットさん、東ジャワのマランで会った面々も来ているし、日本人の留学生、ウーキルやその友人達、スペイン人のアンヘラやチリ人のアレハンドラとも会う。「兵士の物語」の指揮をしていたオスカーも来ている。ウーキルのバンド「スニャワ」の演奏が、本当にテンションが高く、素晴らしかった。観客も大喜び。こういう演奏の後に演奏できるのは、凄く嬉しい。
今回の演目は、1)〜12)までは、ぼくとギギーのデュオで、最後の13)だけが即興で、ここに薮さんに加わっていただく。全ての語りは、ぼくがインドネシア語で担当。ジョグジャから帰国後は、ピアノを演奏しながら、語るようになった。「だじゃれ音楽」をやってきた。いつの間にか、「語り」の芸風が始まっているし、3月には、田中悠美子さんと「千寿万歳」をしたし、もともと好きな笑いの要素が、増殖してきている。今日も、いっぱい笑いをとることができた。ジョグジャの観客はあたたかい。7月26日に、東京でも田中悠美子さんと語り物をやります。
本日、ギギー君とやぶさんと上演した作品のテキストは、以下の通りです。
1)イントロ
(ギギー:ピアノ、野村:鍵ハモ ジャワのテイストでの即興)
一人の子どもがいました。
名前はドドン。
ドドンはインドネシアに住んでいました。
2)ドドンのテーマ
(ギギー:鍵ハモ、野村:鍵ハモ ポリトーナルで、ヘンテコなキャラクターの即興)
ドドンは樹々の踊りを学びに、カリマンタンに行くことにしました。
船に乗ります。
3)舟の歌
(ギギー:鍵ハモ、野村:ピアノ 「さくら」とナルト・サプトが共存する音楽)
4)スマトラの音楽
(ギギー:ピアノ 野村:スマトラ風の踊り)
5)舟の歌
(ギギー:鍵ハモ、野村:ピアノ 「さくら」とナルト・サプトが共存する音楽)
ドドンはお寺のいっぱいある島に着きました。
ここは、カリマンタン島でしょうか?
6)バリ
(ギギー:ピアノ、野村:ピアノ バリ風の音楽。途中、チャッチャッチャッと言った後、バーリ、バーリ、バーリ、バーリ、バリバリバリバリと、「バリ」という言葉だけで「なんちゃってケチャ」。片岡祐介の「なんちゃって音楽」のテイスト)
7)舟の歌
(ギギー:鍵ハモ、野村:ピアノ 「さくら」とナルト・サプトが共存する音楽)
ドドンは樹々のいっぱいある島に着きました。
ここは、カリマンタン島でしょうか?
8)カリマンタンの樹々の踊り
(ギギー:ピアノ、野村:鍵ハモ カリマンタン風の音楽を演奏し、以下の歌。歌いながら、野村の踊りをギギーが真似するが、うまくできないと何度も繰り返す)
樹々は踊る、ルルルルルー
ぼくは、ただ踊りたいだけ、ラララララーカリマンタン島の樹々の踊りを学んだ後、ドドンはジョグジャに帰りたくなりました。
ドドンは、舟に乗って、ジャワへ行きます。
9)舟の歌
(ギギー:鍵ハモ、野村:ピアノ 「さくら」とナルト・サプトが共存する音楽、今までよりも長めで、曲調を発展させる)
ドドンはアニメ/マンガのいっぱいある島に着きました。
ここは、ジャワ島でしょうか?
10)日本(かわさき)
(野村:鍵ハモソロ→ピアノソロ→弾き歌い)
(歌)大地震と津波が原発を壊し
放射能は、空気と食べ物と飲み物に広がって
危ないので多くの人が引っ越しをしたけど
日本の電力会社は、原発をアジアに売りたいここはジャワ島ではありません。
ここは日本です。(野村:ピアノ、声 即興で「放射能」、「問題」、「考えに考える」、「どうしたらいいのか」、「道が見つからない」、「テクノロジー」、「政府」、「経済」など断片的なキーワードを語る/叫ぶ)
日本人はパニックになりました
ドドンもパニックになりました
11)日本パニック
(ギギー:ピアノ、鍵ハモ 野村:ピアノ、鍵ハモ、声、 カオスな即興)
おじいさんがいました。
名前はダルマ。
ダルマさんは京都に住んでいます。
ダルマさんは、ドドン君に語りかけます。
12)ダルマとドドンの対話
(ギギー:鍵ハモ、野村:鍵ハモ 日本の音楽とインドネシアの音楽が混ざり合う対話の音楽)
ダルマとドドンは、新しい伝統的な暮らしを始めることにしました。
13)新しい伝統音楽
(野村:ピアノ、声、ギギー:鍵ハモ、やぶ:ダルブッカ 完全に自由な即興、即興の中で、「コミュニケーション」、「友人」、「伝統」、「新しい」、「未来」、「現在」、「ありがとう」、)
(観客の拍手の後、歌)
新しい伝統音楽 ルルルルルルルーー
ぼくは、単に演奏したいだけーーー
なんでもありーーーー