野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

だじゃれは言いません

本日より関東に遠征です。新幹線の中で、隅田川アートプロジェクトの記録集に書いた原稿の英訳のリライトなどをしました。日本語で書いた文章って、そのまま直訳されると、英語で読んだ時、どうもしっくりこないのです。本人だと、思いっきり意訳したり、全然違う表現に変えちゃったりもできるので、大胆に作文しなおしました。

さてさて、足立区の千住での野村誠プロジェクト「千住だじゃれ音楽祭」に向けて、だじゃれ音楽第5番ヴァイオリンと映像のための「だじゃれは言いません」を作曲するのです。映像をお願いしている三浦さんは、「あいのて」という番組で、ペットボトルの番組などでディレクターをしていただいた方でもあり、千住在住。

本日は、三浦正宏さんの事務所にて、映像の編集作業。既に町中ロケで集められた映像が、とても面白く、捨てがたい映像の宝庫でした。だって、「だじゃれを言って下さい」とカメラを向けた無茶ぶりに対して、ちゃんと応じていただく心の広い方々というのは、人類の宝です。そして、映像の中に、そうした人々の人間性がぐゎーーーんと滲み出てくる声があって、もう、それは言葉の意味とかではなくって、理屈を超越した声なのです。こちらは、意味のある言葉を抽出しようとしたり、ストーリーを組み立てようなどとあざといことをしてもダメでして、ただただ、理屈を越える声こそが、音楽であり、歌であり、それをきちんと見つけられれば、こうした方々の好意を茶化したりすることなく、誠実に応えることができます。それは、面白くても茶化していないし、時に美しく、時にリズミカルで、意味がないけど意味がある。これぞ、うたなのです。生きたドキュメンタリー音楽が生まれつつあります。3月16日に世界初演で、ヴァイオリンは松原勝也さんです。松原さんが、こうした声の表情に絶妙な表情で演奏する新作を実現すべく、今月末にはヴァイオリンパートを作曲します。

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そんな風にしているうちに、旧暦のお正月になりました。あけましておめでとうございます。明日は新月ですね。東京も意外に寒いです。みなさん、風邪にはお気をつけて。