野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

三番叟=サンバ奏

本日は、久々のオフで、妻と大阪に文楽を観に行きました。チケットの予約も、全部やってもらっていたので、何を観に行くのかも全然知らずに、ふらっと行ったら、まず、一つ目の演目が「寿式三番叟」でした。で、見てたら、「千秋万歳」という詞が何度も出てきて、ああ、千住で3月16日に「千住万歳」をやるんだ、と「だじゃれ音楽」の仕事とリンクしてしまい、途中で「万歳楽」、「万歳楽」と連呼されたあたりで、舞台上は千住にしか見えなくなり、ついには、「三番叟」という五穀豊穣や天下泰平を祈る舞いは、「サンバ奏」に見えてきて、「寿式三番叟」の前に千をつければ、「千寿式三番叟」=「千住・指揮・サンバ奏」。なんだか、千住でサンバしたい気分になってしまいました。

10年以上昔、能勢の浄瑠璃シアターで、「子ども三番叟」という音楽劇の音楽を担当した時に、浄瑠璃が盛んで、子ども達の三味線のグループもいたのに、館長さんや演出家さん達を巻き込みきれず、色々やり残したことがありました。三番叟かぁ。サンバ奏かぁ。だじゃれ音楽かぁ。めでたい、めでたい、めでたい、だじゃれ音楽会にしたいものです。

鍵ハモトリオの15曲連載 第7回 高橋哲男 「五連鐘楼のアナグラム

ずっと聴いていたいのに3分で終わってしまう美しい曲です。何らかの規則性を持って、パルスのように
連続して立ち現れる音たち。鍵盤ハーモニカの音域の高音域、中音域、低音域に、現れたり現れなかったりする法則性は、譜面を分析しても、よく分かりませんでした。それは、天球上での惑星の運動が、非常に不規則に見えるような不思議な動きなのです。五線紙の上に、音符が出没しては消えていく。その結果として聴こえてくる音楽に、ぼくらは勝手に声部を感じたり、メロディーを見出したりするのです。それは、夜空に浮かぶ星空を見て、勝手にオリオン座や双子座などの形を見出してしまい、そこに物語を見出してしまうのと似ています。演奏者が敢えて色づけをせずに淡々と機械的に演奏をして、聴衆の耳がそこからフレーズを抽出するというのも、一つの味わい方。演奏者は、自らが見出した音楽を伝え、しかし、そこに聴衆の耳が新たな音楽を発見していくのも、また一つの味わい方。どちらのアプローチで世界初演にするべきかは、今も試行錯誤中です。

http://www.jscm.net/?p=1777