野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

モグラとヤギのコンサート

本日は、「レスピラール花の駅」にて、「モグラとヤギ」の演奏会。寝坊したため、バタバタと会場入り。ギリギリセーフ。脳性麻痺の方々が中心で、「本物の音楽を聴かせて欲しい」という要望に応えられるように、お話も交えながらの7曲、45分のコンサート。

1 小麦畑と赤い屋根の家
2 ゾウさん
3 めでたい
4 踊るモグラ
5 ヤギの音楽
6 フラミンゴの夢
7 旅立ちの朝

施設の方々からも、こちらの予想以上に好評でして、「普段はすぐ泣き出してしまう人が、ずっと聴いていた」とか、嬉しい報告も数々ありました。また、やりたいですね。

http://www.hananoeki.com/

帰りは、バスを2本乗り継いで帰って来て、近所の自然食レストランにて、書き初め。先日のだじゃれイベントでは、書道の達人が素敵な書を披露してくれましたが、あんな風には書けません。

「鍵ハモトリオ」コンサートの関係で、現代音楽協会や鈴木楽器と電話でやりとりをした後、「アートスペース虹」へ。

http://www.art-space-niji.com/

「アートスペース虹」は、ぼくが学生時代に毎週のように通っていて、お茶を飲みながら美術作家さんとオーナーの熊谷さんとお話をして過ごした場所です。しかし、美術作家でない自分が、ここで個展をすることは、夢にも考えたことがありませんでした。しかし、です。昨年末お会いした時、青森での滞在制作と展示のお話をしましたところ、熊谷さんから、個展をしてみないか、とご提案をいただきました。美術作家でない自分に何ができるか、すぐにイメージできませんが、せっかくのチャンスなので、チャレンジしてみたいです。その打ち合わせも兼ねて、アートスペース虹をお訪ねしました。すると、そこは、吹田哲二郎さんの音響彫刻の個展をやっていたのです。吹田さんとは、20数年前に京都芸大でお会いして以来のお付き合いですが、少なくとも18年はお会いしていないのではないか、と思うくらい、お久しぶりなのですが、18年のブランクを全く感じさせないくらい、同じ人でした。そして、音響彫刻のインスタレーション、微妙な音の変化が本当に素晴らしく、しかも、ソファーに座って鑑賞する心地よさも含めて、長居してしまいました。本日初日ですが、芳名帳には、野村仁さん、八木良太さんのお名前が。タッチの差で、お会いすることができませんでしたが、その分、久しぶりの吹田さんとの会話を楽しめました。展覧会は、2月3日まで。お薦めです。

鍵ハモトリオの15曲連載 第6回 近藤浩平 「南の島の3人の男」

「南の島の3人の男」は、どこか懐かしい響きがするのに、聴いたことがない音楽です。この個性は、一体なんでしょう?アジア的な響きでありつつ、実はそれほどアジア的な語法で書かれているわけでもない。主題が変形され様々な形で何度も登場してくるあたりは、ベートーヴェンのようでもありますが、それほど西洋音楽な感じもしない。緻密に書かれた変拍子のフレーズの重なりから、土着的なリズム感が立ち上がります。それなのに、実は非常にハーモニーの個性的な音楽であるところが、この作曲家の一筋縄ではいかないところなのです。そうなのです。この曲は、実はハーモニーの特徴的な曲なのです。ある特定の限定された音階の音だけを使っているわけでもなく、場面ごとに明解な響きの個性があります。この独特なハーモニーを活かすために、3人の奏者が音量のバランスを、場面ごとに微妙に変化させると、何とも美味しい響きになるのです。

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