野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

砂連尾理論勉強会3回目

砂連尾理さんとの勉強会の3回目でした。ここでは詳しくは書きませんが、発信する芸術から受信する芸術への転換途上の砂連尾理さんのダンス哲学や世界観が、明確になってきております。総論はこれくらいにして、次回からは各論に入りたいと思います。一作品ごとに、解明していき、砂連尾理が志向するダンス哲学を、言語化していこうと思います。特に、障害者や認知症のお年寄りなどという文脈で論じられがちな近年の作品については、そこで探求されているダンスの実験にフォーカスして議論してみたいと思っております。

それにしても、自分の身体を自分の物と思うのではなく、借り物だと思うことで、世界観が大きく変わる、という砂連尾さん。借りていると思うことで、大事に使おうと思えたりしますし、独占するのではなく、他者と共有している感覚になれます。「借り物アート」という言葉を思いつきました。ぼくの作曲した曲は、ぼくの作品とも言えますが、もとをたどれば、全て人から借りたアイディアや着想や技術が何らかの形で変形しているのですから、「借り物」とも言える気がします。感謝して借用して創作していこうと思います。