野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

砂連尾理デビュー公演

ダンサーの砂連尾理さんと、来年2月に行う公演に関する打ち合わせ。

砂連尾理(ダンス)×野村誠(音楽)の二人による公演を行います。これには、砂連尾さんの強い覚悟を感じました。

砂連尾理さんは、TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARDの第1回の賞を受賞された演出家、振付家であり、彼の演出力が、高く評価されています。そして、砂連尾さんご自身も、もちろん演出や振付という仕事の魅力もよくご存知です。演出の力で、様々な身体の魅力を、より雄弁にプレゼンテーションする術を、砂連尾さんは、確かにお持ちです。

しかし、そんなアプローチを、砂連尾さんは封印する覚悟です。それを封印し、砂連尾さんが信じるダンスをソロで踊る。彼がやろうとしていることは、シンプルにそれだけです。

砂連尾さんが目指しているダンスは、彼の言葉だけから判断すると、合気道にも通じ、ジャワ舞踊にも通じ、脱構築のダンスにも通じ、様々なダンス哲学の延長線上に位置します。しかし、彼が思い描くダンスを体現しているダンサーは、今のところ、未だいません。そして、それを体現する可能性を持っているのは、砂連尾さんご自身なのです。

過去の砂連尾さんの仕事を知っている人は、砂連尾さんのソロダンス?身体を鍛えたダンサーで、砂連尾さん演出が良いのでは?と、提案します。砂連尾さんは、はっきりそれは違うと答えます。当然です。砂連尾さんの目指すダンスを体現できるダンサーは、今のところ、全然いないのです。そういう意味で、砂連尾さんは、孤高のダンサーになってしまっています。

と同時に、この孤高のダンサーのソロ公演こそが、今やるべきものだ、と応援する動きも少ない。社会は別の文脈で、砂連尾さんに、演出やワークショップの依頼をしてきますが、その企画案の中では、砂連尾さんが真に体現したいダンスにはいけない。

こうした覚悟のもと、砂連尾さんの決意を確認し、ぼくが音楽をします。それは、新たなダンスを携えて生まれ変わる砂連尾理さんのデビュー公演になることでしょう。

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