野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

自由型に継承される伝統

 夜は、ジョグジャ芸大で、伝統音楽科のフェスティバルがあるので見に行った。夜7時にスタートして、夜中の12時まで。学生の演奏が延々続き、その全てがガムランを使っている。創作あり、ジャズあり、伝統あり、影絵ありで、音楽的に相当豊かで楽しめる盛り沢山のイベント。
 しかし、伝統音楽を大学教育でやっていることについて、色々考えました。午前中に、自由な教育に触れていたせいかもしれません。
 一昨日の震災のためのイベントは、舞踊の型は自由型。型という意味では伝統から完全に逸脱。しかし、その精神性は伝統を継承していたと思う。祈りとしての舞いであったり、儀式としての即興だったり、神が存在したり。こういう精神世界の部分は、西洋から輸入して導入された大学教育に馴染まない。だから、大学教育では、伝統の中での精神世界以外の部分、技術面を中心に教えていき、それをテストしたり、評価していったりするのだろうなぁ、と感じました。そして、一昨日のあの超自由な即興セッションの中にこそ、ぼくは、ジャワの伝統の真髄を強く感じたのです。あの精神性は、大学教育では扱えないだろうなぁ、扱ったらヤバいし、かなり胡散臭くなるよなぁ、でも、そこが真髄なんだけどなぁ。
 今日は芸術教育について考える一日でした。