野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

朝(@民族音楽学科)

 ジョグジャの芸大の民族音楽学科(Jurusan Etnomusikologi)を訪ねる。スボウォさんの紹介で、マレーシアから1ヶ月研究滞在中のシャハヌムさんに会うためだ。西洋音楽をやるのが芸術音楽科、ガムランをやるのが伝統音楽科なのだが、それとは別に民族音楽学科がある。民族音楽学科は西洋音楽科の隣にあり、伝統音楽科からは随分離れている。民族音楽学科と言うけれど、調査研究をするというよりは、民族楽器を演奏する実践が中心のようで、実際、ジャワガムランの響きが聴こえてくる。建物に入ると、学生と先生が立ち話。ジョコ先生は、マルガサリ(大阪のガムラングループ)の招聘で昨年、滋賀と大阪で公演+ワークショップをしたそうで、専門はジャワ・ガムランという。ぼくは、話の流れで、ガムラン・チューニングの鍵ハモを演奏。すると、また人が集まってきて、踊りのスプリヤディ先生が登場。こちらは、85年につくば万博に出演。95年には京都にも来たとのこと。
 そうしているうちに、スボウォさんがやって来て、シャハヌムさんを訪ねる。民族音楽学科長のウトゥン先生もいる。シャハナムさんは、ぼくが来月教えにいくマレーシアのUiTMの准教授で、音楽教育を教えているらしい。ガムランの現代音楽を音楽教育に応用すること、マレー・ガムランなどが専門らしい。インドネシアやタイなどの学校教育では、自国の伝統音楽を中心にした教育が実践されているのだが、マレーシアでは、そうした部分が少ないらしい。日本の音楽教育の話、ぼくが独学で作曲家になったいきさつ、などなど、一気に話し込む。来月、マレーシアに行った時に、ぼくのガムランの作曲について、インタビューをしたいとのこと。今後、関係が続いていきそうな予感。
 学科長のウトゥン先生は、早口で色々聞いてくるので、「ぼくは、自己流のガムランです」とか「創作のワークショップやれますよ」と答えていたのだが、後でスボウォさんに聞いたところ、どうやら民族音楽学科でガムラン創作のワークショップをやって欲しいと頼んでいたらしい。しかも、この人は、作曲家であり、振付家でもあり、Kembang Soreという著名なダンスカンパニーを主宰しているらしいことが、後で分かった。民族音楽学科でガムランワークショップをするのは、楽しみだ。