野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「音楽の創造1」3回目〜ジョグジャ芸大大学院にて

ジョグジャの芸大の大学院の「音楽の創造1」に、今日も出席。授業が始まる1時間ほど前に大学院に行きピアノを弾いていると、院生のリンダさんが来て、貸していたぼくの譜面を返してくれる。
 「ピアノ何弾いているの?聞いていていい?」
と言うので、色々、弾いていると興味深そうに聞いている。
 「エンターテイナー弾ける?」
と言われるので、よりによって、ピアノで「エンターテイナー」を弾いて欲しいのか、と驚くが、弾いてあげる。で、時間になったので講義室へ。
 今日の講義も先週に続いて、ワヤン・セニン先生。前回10%しか分からなかったので、今日は15%分かりたいつもりで、受講。以下は、ぼくが理解/誤解する範囲の講義メモ。

 何をソースに創造をしていくか?例えば、刺激を 

1)視覚から
2)聴覚から
3)動きから
4)考えから


得ることができる。動きから、というところを説明中、観客が〜〜〜と言っていた。ぼくのイメージでは、観客参加と動きが合体したようなイメージ。多分、誤解している。4)の考えの部分では、回想、瞑想、議論、書物、などをあげたりする。また、

1)芸術作品
2)自然
3)社会の出来事
4)考え


と4つをあげて、説明する。芸術作品を着想の起点として、創作することについて、例えば、《51354563》という8音のメロディーがある。このメロディーから3音抜いてみよう。《5−35ーー63》となる。では、これを逆から読んでみよう。《36ーー53ー5》となる。このメロディー、新しい創造だ。Gampang(簡単、楽)でしょう、という。
 相変わらず、外来語が多くて助かる。abstrak, など。ワヤンの話になって、さっぱり分からない。海、芝居、男の子、前進する、シンタ姫などのキーワードが全く分からない。宗教にも考えにも、+とーの面が共存している、一面的になるとbahaya(危険)だ、と言っているようだ。夫と妻の話になると、また学生が笑う。ゆっくりのガムランと速い演奏。kontras(コントラスト)。
 自然について、水、火、空気、大地、ethikと5つあげていた。ぼくは、水の音楽会や、火の音楽会をやっていますよー、と思いながら聞く。しかし、イスラムの国で、銭湯の音楽会の映像は、刺激が強くて見せられないかな(特に女湯)。
 創作とは何か、創作の動機とは何か?なぜ、創作するのか?などなどは、西洋音楽の作曲の先生は、逆に考えることは少ないかもしれないし、伝統のバックグラウンド先生にとっては、考えることが必然なのかもしれない。
 スラウエシのリズムを叩いてみせて(4小節分)、そのうちの半分(2小節)を叩いて、「これは創作?」と問う。続いて、1小節、さらに半分と、素材を分断していく。最後に一音だけになって、これは、スラウエシのリズム?と先生が聞くと、一同笑い。とにかく、創作に対するアレルギーをとろうとしているようだ。
 理論なんて関係なく、まずやってみなさい、と言っているようだ。
 授業後、スラウエシの音楽をやるアスリルがスラウエシの音楽の映像をコピーしてくれる。また、自作の音楽をパソコンの画面上で見せてもらう。スラウエシの楽器に、ジャンベやサックスが加わっている。枠組みの決まっている即興といった感じか。
 今日は前回よりは、少し話が分かったので一歩前進。
 講義後、大学院のジョハン先生に、スボウォさんとのコンサートの件で相談。メメットさんに相談してもらうようにお願いする。いろいろ、お世話になる。
 ピアノを練習していると、大学院生でフルートをやるグティ君が話しかけてくる。クラシックとクロンチョンをやると言う。今度、セッションしてみようと思う。